ルーベンスの傑作『聖フランシスコ・ザビエルの奇蹟』での2人のやり取りはこうだ。
五郎館長「これは、わけのわかんない神様を拝んでいる人を、(ザビエルが)改心させているところ。…この人の頭みて、ちょんまげなの」
こやま「えっ!? (ここに描かれている人って)日本人なの?」
五郎館長「このモヒカンみたいなのが、ルーベンスの考えたちょんまげなの。日本人なの」
こやま「バカにされている感じ…」
五郎館長「バカにしているんじゃないの、知らなかったの。日本人頭になんか載ってるな、みたいな」
こやま「(そういえば)五郎さんに似ているような…」
“学芸員見習い”であるこやま氏の天然っぷりが良い合いの手となり、会場は爆笑の渦。
『鏡の前のヴィーナス』という絵では、
こやま「だいぶぷくぷくしている…」
五郎館長「太っている人を描いているんじゃない。ヴィーナスを描いているの! セルライトもあるけどね。痩せている人がいいとされるのは、ここ100年くらいです。
ただ、ふくよかな女性のほうが良かったのは間違いないんですけども、なかでもルーベンスは同時代の画家のなかでも頭抜けて“ぽちゃ好き”」
と、ふくよかな女性が美とされた時代の話から、まさかのルーベンスの嗜好の話に。五郎館長によると、なんでも、ルーベンスは同時代の画家のなかでも頭抜けて“ぽっちゃり好き”で、彼以降、オランダではぽっちゃり好きな人のことを「ルベネスク」、そしてぽっちゃり美人のことを「ルーベネシアン」と言ったのだとか。話は横道にそれつつも、「褒め言葉だが、使い方によってはディスり気味にもなります」(五郎館長)と、使用法も忘れない。
そんなルーベンスの再婚相手は16歳。妻が20歳のときに描いた絵『エレーヌ・フールマン』の五郎館長の解説は、ズバリ「ぽちゃロリ」だ。なんと、裸に毛皮!
前妻との間に3人、そして53歳から5人の子をもち、最後の子供が生まれたのが61歳の時。そしてルーベンスは、翌年死んだということなど、芸術家の性癖や生き方に光を当て、絵とからめながら解説するテクニックは、さすが山田五郎節だ。