ライフ

貧困者を成功できると励ます元貧困者が一番タチ悪いとの意見

 社会的弱者にまつわる議論が繰り返されている昨今の日本。フリーライターの赤木智弘氏が「貧困者」について指摘した。

 * * *
 貧困をテーマにしたメディア、特にテレビ番組は多い。しかし、番組の作り方もさることながら、その出演者が語る「貧困」と、中年になっても結婚もできずアルバイトで生計を立てざるを得ない貧しい人たちが直面している現実との間には、意識の「ずれ」が生じている。

 訳知り顔で貧困問題を語るタレントや識者は多いが、中でも「かつて貧困だった」人の意識の「ずれ」はタチが悪い。もとから裕福な生活を送っていた人よりもだ。テレビで社会問題にコメントするお笑い芸人などがそれに当たる。

 自身が、または同僚や後輩が貧困出身ということで、彼らは「理解者」「経験者」としてコメントする機会を与えられる。しかし芸人の語る貧困は、現在社会問題として議論されている貧困と同じだとは限らない。なぜなら、彼らは一般人と違って周囲の環境に恵まれ、それに甘えている可能性があるからだ。

 例えば、アルバイトをしながら成功を目指す売れない若手芸人は多い。時に彼らはバイト生活の現状を自虐ネタとしても披露している。だが、実際のところ彼らのバイト先は業界の斡旋で融通が利き、突然仕事が入っても「この日は休ませてください」ということが許されてしまう所が多い。また、業界の慣習で先輩芸人に食事を奢ってもらうことや、服や物を譲ってもらうことだってある。

 コネや実利もなく生活のために低賃金労働を「せざるを得ない」人と比べて、そんな芸人の貧困は遥かに優遇されているものではないか。後に人気者になった彼らがテレビで貧困を述懐したとしても、一般の人の貧困とは別のものである可能性が高いのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン