ビジネス

年末に向けて円安が進み「日経平均17000円もある」と専門家

 世界的な株高潮流の一方で、いまだ年初来高値を更新できずにいる日本株だが、今後はどう推移していくのだろうか。海外投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表取締役・戸松信博氏が解説する。

 * * *
 米国株を中心に世界的な株高となっている。欧州ではECB(欧州中央銀行)が6月に金利引き下げと同時にマイナス金利の導入を発表し、さらなる金融緩和に踏み込んだ。米国では雇用者総数がリーマン・ショック前の水準をすでに上回っており、毎月の就業者数も7月時点で6か月連続の前月比20万人超の大幅増を達成。企業の景況感や住宅市況を見ても米国経済の回復ぶりは顕著となっており、それらを背景に欧米市場の株高が続いている格好だ。

 本来なら日本株も連れ高となってもおかしくないところだが、まだそうはなっていない。というのも、中東やウクライナ情勢の緊張が高まるなか、海外投資家はより安全性の高い資産として米国債をはじめとした先進国の債券に資金を集中。中国でも米国債買いが進み、一時的に米国の金利が下がったためだ。

 ドル円相場と日米金利差には相関関係がある。米国の金利が下がって日米の金利差が縮小すれば、為替は円安に進みにくい。そのため日本株も上がりにくい状況にあったのだ。

 しかし、米国の金利低下はいつまでも続くものではない。米国はテーパリング(金融緩和縮小)を進めており、10月にも終了すると見られている。さらに年末のクリスマス商戦が好調に推移し、米景気の回復が鮮明になると、いよいよ来年にもFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが視野に入ってくる。

 中長期的に日米金利差は拡大傾向にあり、日本で異次元金融緩和が続くなか、米国が利上げともなれば、金利差はさらに拡大し、円安に振れるのは必至の情勢といえる。

 テーパリングの終了後、早ければ来年前半にも見込まれる米利上げを見越して、年末までには1ドル=110円台の円安が予想される。そうなれば、日本株もようやく世界の株高潮流に追いつくに違いない。

 日経平均株価でいえば、9月くらいまでは1万5000円を割り込むような展開となるかもしれないが、10月以降、回復基調に転じ、年末にかけて1万6000~1万7000円まで上昇すると見る。そんな強い値動きが少なくとも来年前半までは続くと予想する。

※マネーポスト2014年秋号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン