ライフ

痛痒いアトピー性皮膚炎 汗をかいて洗い流すことで症状改善

 アトピー性皮膚炎患者にとって、暑さと汗は禁物だといわれてきた。ガイドラインでは、年齢によって症状の増悪因子は変わるが、すべての年代に共通して、汗は増悪因子とされている。

 汗をかくと、皮膚が痒くなったり、皮疹が悪化する患者が多く、汗をかかないようにという患者指導も行なわれている。また患者自身も、発汗しないよう気をつける人が多い。

 しかし汗には、大量にかいて体温を下げる体温調節機能や細菌の感染を防ぐ物質を出す防御機能、さらに皮膚の保湿に関わる因子も含まれている。近年、アトピー性皮膚炎と発汗の研究が進み、汗の効用が見直されている。

 大阪大学医学部附属病院皮膚科の室田浩之医師の話。

「最近の研究で、汗そのものが症状悪化の原因ではないことが明らかになっています。むしろ汗をかかないと、熱がこもり皮膚の温度が上がり、乾燥しますし、感染も起こしやすくなります。これがアトピー症状悪化の要因です」

 治療は従来の薬物治療を継続しつつ、発汗を促すように指導している。通勤や入浴など、日常で汗をかく機会をできるだけ増やす。ポイントは、汗をかいた後のケアだ。シャワーで汗を流すのが最善だが、難しい場合は顔や腕など、洗い流せる部分は洗い、それ以外はおしぼりなどで汗を十分に拭き取る。

 ステロイド外用薬も効きにくい患者40症例を対象に治療を実施したところ、大半が約1か月で症状が改善した。身体中に汗腺を有するのは、人間とチンパンジーだけと考えられている。せっかく全身に備わった発汗機能を活用して、アトピー症状改善に努めたい。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2014年10月3日号

関連キーワード

トピックス

モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン