国際情報

産経支局長を起訴した韓国に外務省は売られた喧嘩を買う構え

 日韓関係改善の兆しが見え始めた矢先の出来事だった。産経新聞の前ソウル支局長の在宅起訴。韓国におけるジャーナリズムの脆弱な立ち位置を露わにし、世界中から朴槿恵政権の姿勢に疑いの目を向けられる外交問題に発展した。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は彼の国の「流儀」に疑義を呈する。

 * * *
 10月8日、韓国のソウル中央地方検察庁が、産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長を在宅起訴した。8月3日に産経新聞のウェブサイトに加藤氏が署名入りで書いた「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」という記事が朴槿恵大統領の名誉毀損にあたるという容疑だ。

 旅客船セウォル号が沈没した4月16日に大統領の所在がはっきりしなかったことが韓国国会で問題になったが、その日、朴槿恵氏が男性と会っていた噂があるということを韓国紙のコラムなどを引用して書いた記事が問題にされた。この程度の記事を理由に新聞記者に刑事責任を追及するというのは常軌を逸している。さらに、加藤氏に対する出国禁止措置が、16日から3カ月間延長されることになった。

 弁護人は、加藤氏の出国を速やかに認めるよう求める文書をソウル中央地裁に提出した。刑事被告人であっても無罪推定が働くので移動の自由を持つ。祖国である日本への移動を認めないのは、人道的観点から問題だ。

 韓国人が祖国・大韓民国を愛するように、日本人は祖国・日本国を愛する。加藤氏は責任感の強いジャーナリストなので、裁判から逃亡するようなことはしない。出国を認めるべきだ。

 米国、ロシア、ドイツの記者が同様の記事を書いたとしても韓国検察は、このような対応をしなかったと思う。そもそも加藤氏が引用した韓国紙の記事を書いた韓国人記者は起訴されていない。日本のマスメディアが狙い撃ちにされていると見るのが妥当だ。

関連キーワード

トピックス

初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン