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白鵬の「ダメ押し」 翌日対戦の逸ノ城への威嚇だったとの見方

 9月場所では新入幕で13勝2敗の成績をあげ優勝争いに絡んで話題を独占した逸ノ城だが、いまや対戦相手がなりふり構わず向かってくるとあって、この九州場所は苦戦している。さらに逸ノ城を苦しめたのは角界モンゴル一派の存在だった。

 横綱・白鵬や日馬富士、鶴竜ら他のモンゴル人力士が首都・ウランバートルの出身なのに対し、逸ノ城は遊牧民出身。ウランバートルから約400キロメートル離れたアルハンガイ県の生まれで、ヒツジやヤギなど約400頭の家畜とともに移動式住居のゲルで暮らしてきた。そのため、他のモンゴル勢とは接点が少なく、もっぱら留学先だった鳥取城北高校出身の力士たちと交流している。
 
「モンゴル人グループに入っていると、どうしても先輩に遠慮がちになり、張り手や立ち合いの変化などはやりにくい。しかし、逸ノ城はグループに属していないので、母国の先輩にもガチンコの戦いを挑める」(親方のひとり)
 
 モンゴル出身の先輩である鶴竜が先場所、逸ノ城に立ち合いで変化され、わずか0.9秒で金星を献上したのは象徴的だ。それだけにモンゴル一派から睨まれる存在ともなる。
 
 場所前の秋巡業で鶴竜は逸ノ城を3日連続で徹底的にかわいがり、連日砂だらけにした。逸ノ城が帯状疱疹で巡業後半を欠場したのはその直後だった。
 
 場所中の威嚇もあった。中日の白鵬と照ノ富士のモンゴル人同士の一番では白鵬が寄り切った後、土俵下に降りた照ノ富士の背中をさらに強く押し、危うく近くの観客女性にぶつかりそうになる場面があった。この「ダメ押し」は審判部でも問題視され、師匠の宮城野親方が呼び出されて注意を受ける事態になった。
 
 優等生の白鵬のダメ押しには支度部屋でも首をひねる者が多かったが、前出の相撲担当記者はこういう。
 
「関係がわかっている者からみれば“やっぱり”ですよ。照ノ富士は逸ノ城の高校の2年先輩で、モンゴル人グループより鳥取城北高グループに属している力士です。照ノ富士へのダメ押しは、翌日対戦する逸ノ城への威嚇の意味があったと見られています」
 
 翌日、逸ノ城は白鵬にわずか2.7秒でいいところなく敗れた。モンゴル一派の「鉄の掟」に跳ね返された格好だ。

※週刊ポスト2014年12月5日号

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