サムスンはこれまで、日本メーカーの優秀な技術者を高給で引き抜き、いわば“モノマネ商法”でのし上がってきた側面もあるが、そうした開発姿勢がアダになってくる可能性がある。真壁氏が続ける。
「中途採用された日本の技術者は、それまで培ってきたノウハウを伝えるとともに、開発スピードを求められて3年でお払い箱になると聞いたことがあります。こうした仕事のやり方と人材登用を繰り返していれば、中長期的な技術を蓄積させるのは難しい」
いま、サムスン電子は人事異動の時期を迎えているという。
「在鎔氏は父親の経営手法を踏襲すべく、大量リストラに踏み切ろうとしている」(前出・ジャーナリスト)との観測も出ている。それを裏付けるように、すでにモバイル部門の幹部が減俸や更迭でスマホ不振の責任を問われている――との話も漏れ伝わってくる。
日本では「3代目が会社を滅ぼす」と言われるが、果たしてサムスンの3代目は、成長に陰りが見えた巨大帝国を自らの技術力で復活させることができるのだろうか。