ビジネス

シネマコンプレックス 月額2000円見放題プランを大前氏提案

 音楽を聴き放題のストリーミング(逐次再生)音楽配信サービス、電子書籍、携帯電話のかけ放題など、定額制の○○放題を展開するビジネスが急成長している。これら「放題ビジネス」の隆盛による企業マーケティングの構造変化の方向性と、新たな可能性について大前研一氏が解説する。

 * * *
「放題ビジネス」のポイントは、実際には「○○放題」にはなっていない、ということである。つまり「好きなだけ/ご自由に」と言われても、だんだん量が減ってくるのだ。たとえば「聴き放題」も、最初のうちは嬉々として聴いているが、いつでも聴けるとなると、不思議なことにそのうちあまり聴かなくなるのである。

 私の友人が地方のホテルを立て直した際も、バイキング形式の「食べ放題」に酒の「飲み放題」を付け、さらに「エステ放題」と謳ったら、ネット予約で新規客が殺到した。ところが、その友人に言わせると、たとえば1500円で飲み放題にしても、あまり酒が飲めない人もいるから、平均すると1500円までいかない。食事は高級食材を限定することでコストを抑えられるし、エステは先着順で埋まるから施術者の人数分以上のコストはかからない。

 ○○放題は、集客効果が高い割にコストが比例して上がらないわけだ。

 この「放題ビジネス」は、研究すればするほど様々なアイデアが出てくる。経営学的には「固定費に対する限界利益の貢献を最大化する」というアプローチで、これは非常に重要なイノベーションの戦略的手法の一つである。

 実は「放題ビジネス」で、制約条件があるのは企業(提供者)側ではなく利用者側だ。音楽を聴く時間や映画を見る時間や本を読む時間は無限ではない。制限時間内で食べられる料理や飲める酒の量も限られている。永遠に電話し続ける人もいない。それを逆手にとって「安い」と思わせるのが放題ビジネスの要諦である。

 また、企業の固定費で一番高いのは人件費だ。それを最大限に活用するためには、どうすればよいのか。従業員が働いている間の操業度を上げるしかない。その方法の一つが放題ビジネスであり、それが成り立つのは固定費の比率が高い事業である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン