ライフ

【著者に訊け】中丸美繪氏が古巣を描いた『日本航空一期生』

【著者に訊け】中丸美繪氏/『日本航空一期生』/白水社/1900円+税

 日本の空に、日本の飛行機が飛ぶ。そんなごく当たり前の光景が全く当たり前ではなかったことに、中丸美繪著『日本航空一期生』では、改めて気づかされる。

 1945年11月、GHQは〈航空禁止令〉を発令。航空事業や製造、学術研究に至るまで、敗戦国・日本では一切の航空活動が禁じられ、当時の新聞にはこんな句が載った。〈わが空はわが空ならず秋の空〉──。

 そんなゼロどころかマイナスから、日航ならぬ〈日本の航空会社〉を作り上げた一期生の奮闘を綴る著者自身、1978年から客室乗務員として5年間勤務。古巣の今に心を痛める日航OGだ。

 もちろんどんな会社にも草創期はある。が、それらがなぜこうも眩しく、圧倒的魅力を放つのか、私たちは今こそ業種を超えて考え直す時期なのかもしれない。

 歴代客室乗務員の間にはこんな通説が語り継がれているという。〈神話の一ケタ、化石の二ケタ、美貌の百期、知性の二百期〉……。

「私ですか。もちろん〈体力の三百期〉です!(笑い) 成田開港の年に百人単位で採用された私たちと、容姿端麗・語学堪能が絶対条件だった一期の方々ではプライドが違うし、今回取材するまで正に神話的存在」

 本書では、応募1300名に対し採用15名の超難関を突破した〈エアガール〉一期生、そして航空保安庁初代長官から日本航空専務に転じた故・松尾静磨氏ら技術者たちの生涯を軸に、日本が空を取り戻すまでの道程を戦後史と併せて描く。

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン