ライフ

交際7年のカップル 結婚を決断した過酷な状況と母への感謝

 長い付き合いなのに、なかなか結婚しないカップルが、突然の結婚を決意しました。一体何があったのでしょうか。人とのつながりの大切さを知れるエピソードを32才の主婦・Aさんが語ります。

 * * *
 母ががんになり、余命半年の宣告が下されました。背中が痛いとは言っていましたが、母はまだ50代でしたし、家事などを普通にこなせていたので、信じられませんでした。

 少しでも希望を持ちたくて、セカンドオピニオン、サードオピニオンを受けました。しかし、結果は同じ。次第に体は弱っていき、ついに、ひとりで歩けなくなり、入院することになってしまったんです。

 ある時、げっそりと痩せてしまった母が私に、「あなたの花嫁姿を見たい」と言いました。実は私には7年つきあっている彼がいたのですが、結婚はまだ考えていないと言われ、それ以来、私も家族もその話題には触れないようにしていたのです。

 嘘で構わないからと、彼とウエディングフォトを撮って、初めて3人でご飯を食べました。でも、そのことを知らない母は彼の手を強く握り、「娘をお願いします」と深く頭を下げ、涙しました。気まずくなった私たちはその夜、ずっと無言でした。

「今日はごめんね」

 別れ際、私がそう言うと、彼はいつになく真面目な表情で言いました。  「おれのほうこそ…。なあ、こんな時に言うのがいいとは思わないけど、もしよかったら、本当に結婚しないか」

 突然のプロポーズ。でも、私の心は決まっていました。そして、1か月後――身内だけで結婚式を挙げることになりました。特別に外出許可をもらった母は、つらい表情も見せず、車椅子で最後まで参加してくれました。ペンが握れなくなってしまった母に代わって、父が代筆し、読んでくれた手紙。

 そこには、病気で迷惑をかけたことの謝罪や、結婚式に参加できた喜び、そして体に気をつけてふたりで末永く幸せになってほしい、そして孫を見るまで生きていたいと書かれていました。父は読みながら泣いていて、私も涙が止まりませんでした。

 母が息を引き取ったのは結婚式の1か月後のことでした。「もっと早くおれが決めていれば、孫を見せられたのに…」と彼は後悔していましたが、母のために結婚を決めてくれた彼には感謝しています。そして、この幸せはほかならぬ母が導いてくれたもの。お腹に宿った赤ちゃんを大切にして、生まれたらすぐに母のお墓に見せに行こうと思います。

※女性セブン2015年3月5日号

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト