国内

中1殺害事件、実況動画アップ疑惑と私刑 ネットで広がる波紋

 神奈川県川崎市の多摩川河川敷で中学1年生・上村遼太さん(享年13)の遺体が発見された事件で、不良グループのリーダー格・A(18才)、Aの中学時代のクラスメートのB(17才)、AとBの1つ下の学年にあたるC(17才)の3人が殺人容疑で逮捕された。

 首を刃物で切りつけるという残忍な殺害方法が衝撃を与えているが、さらなる疑惑が話題となっている。

 上村さんの死亡推定時刻の2月20日深夜2時頃、ツイッター上で気になるやりとりがあったのだ。

 その会話は、Aたちと接点があった少年Dが20日深夜2時39分に、《びーん》と綴ったことから始まる。これに対して、別の少年が《あれ?自殺に追い込ませた?》と問いかけると、Dは《一人死んだ》と返答した。

「“びーん”は6秒の動画を投稿できるサイト『Vine』を指していると思われます。今回逮捕された少年の1人が、このサイトのアカウントを持っていました。Dはツイートすることで何か動画がアップされたことを周囲に知らせた。それを見た別の少年が、人の死を想起させられたとなれば、自ずと上村くんとの関連を疑ってしまいます。殺害にまつわる動画や、もしかしたら、Aが上村くんの首を切る瞬間の実況動画だったのかもしれません」(捜査関係者)

 もしそうだとしたら、「イスラム国を真似た犯行」という説も、信憑性を帯びてくる。

 遺体が上村さんと確認されてから、インターネット上には、《上村くんを殺害した犯人はこいつらだ》という真偽不明の情報が流れ始めた。中には、顔写真とともに実名や住所が晒され、ツイッターでリツイート(転送)される事態にもなっていた。ネットメディアに詳しい中川淳一郎氏が解説する。

「野次馬精神もありますが、それ以上に、悪い奴をこらしめたいというのがあるんですよね。今回の一件でも、“上村くんがかわいそうだ”“なんとしてでも犯人を追い詰めねば”という正義感から、“ネット私刑”をくだそうとした人が多くいたんです。一方で“おれは情報通なんだ”“犯人の写真を発見したぞ”と優越感に浸りたいタイプもいる」

 とはいえ、ネットやツイッターの情報は信憑性が低く、過去には滋賀県大津市で起きた中学生のいじめ自殺で、無関係な女性が“いじめの首謀者の母親”として取り上げられたこともあった。

 一方、ツイッターでの情報の拡散が奏功したケースもある。2012年にアイルランドで迷子になっていた犬を見つけた駅員が、写真とともに飼い主を探すつぶやきをすると、みるみる拡散されてその日のうちに飼い主にたどり着いたことがあった。

 今回の事件では、上村さんを知る多くの人がテレビや週刊誌の取材にこたえてくれた。Aに対して「報復が怖い」と思っていた人もいただろうが、そこには、ツイッターで拡散していく情報に勇気づけられた一面もあったことだろう。

※女性セブン2015年3月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン