国際情報

米ロサンゼルスにある中国人妊婦村「月子中心」の実態に迫る

 気鋭の朝日新聞記者、峯村健司氏が綴った国際ノンフィクション『十三億分の一の男』(小学館)には、中国共産党の核心を突く数多の国家機密が描かれている。そんな機密の一つが米ロサンゼルスにある中国高官の「妊婦村」で専用の宿泊施設「月子中心」。いわば産後ケアセンターの実態について峯村氏が報告する。

 * * *
 ロサンゼルス市中心部から東へ40分ほど高速道路を走ると、高層ビルに遮られていた視界が一気に開け、小高い丘に囲まれた地域に抜けた。

 目的地、ローランドハイツだ。道路脇の店の看板には、中国語看板がやたらと目に付く。しばらく車を走らせていると、横断歩道を十数人の女性が横切った。買い物袋を持った両手で、大きなおなかを抱えるようにゆっくり歩いている。月子中心の妊婦だ──。

 慌てて車を路肩にとめ、後を追いかけた。女性たちは、建物の敷地の入り口にある鉄扉を開け、中に入ってしまった。敷地の周りは2メートルを超える塀に囲まれている。守衛が24時間監視しており、部外者は立ち入れない。

 特にあてもなく月子中心の周辺を歩いていると、中国人カップルに声をかけられた。 「この近くにある月子中心を知りませんか」

 北京から来たという20代の夫婦だ。妊娠中の妻が、ここでの出産を考えており、下見に来たそうだ。案内をするついでに、同行できないか頼んでみると、快諾してくれた。

 夫妻が月子中心の管理者に連絡すると、固く閉ざされていた鉄扉が開いた。

 街路樹を通り抜けると、プールを取り囲むようにコテージが建ち並んでいた。リゾートホテルさながらのたたずまいだ。行き交う住民の多くがおなかの大きい女性で、しかもアジア系ばかりだ。ウェンディーと名乗る北京出身の中国人女性スタッフが敷地内を案内してくれた。

「部屋は全部で208室あり、二人で1部屋を使うの。利用者の多くが中国大陸から来た女性だわ。出産3ヶ月前から滞在する人がほとんどね。毎月の利用料は4800ドル(58万円)で、出産費や航空費を含めた総額は5万ドル(600万円)ぐらいかしら。プライベートの運転手やコック、秘書も付いた40万ドル(4800万円)のVIPコースも用意しているのよ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン