ビジネス

中高年も地上波離れ BSに格安でCM出す方が反響大きい例も

 今秋、映画やドラマなどをインターネットを介して配信する米ネットTV最大手「ネットフリックス」が日本でサービスを開始する。これまでのように週1回、決まった時間にテレビの前に陣取ったり、録りためておいたりする必要はない。いつでも好きなだけ自分の都合でドラマや映画を堪能できるようになる。このサービスに対応したテレビも続々投入される。

 一方、日本の地上波テレビは特に若年層の視聴者から見放されつつある。BS放送局幹部が話す。

「『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)や『大杉蓮の蓮ぽっ』(BSフジ)などのBSのヒット番組は地上波から視聴者を奪う牽引役になっている。4月からBS放送でも視聴率調査が始まるが、人気番組だと6~7%は十分狙える。地上波を超える数字を叩き出す番組もいくつか出るはずだ」

 CSやケーブルTVを契約する家庭も増え続けており、海外ドキュメンタリーやスポーツ・チャンネル、アニメ、映画、海外ドラマなどを主に見るという家庭も今や多い。

 さらに地上波テレビ局から視聴者を奪っているのがインターネットだ。YouTubeなどの動画投稿サイトばかりでなく、アイドルや芸人が冠番組を持ち、多くの視聴者を獲得する「プロ」によるインターネット番組が増えている。

『Cheer Upバラエティ!しずる館』はお笑いコンビ・しずるがMCを務める今年1月スタートのネット番組。2月19日放送では、同時間帯で国内トップの視聴者数(3095人)を記録。YouTubeでも1か月で再生回数3万回を超えた。

 動画共有サイト・ニコニコ動画を運営するニワンゴの生放送専用サイト「ニコニコ生放送」では、アイドルグループ・NMB48の冠番組『NMB48 アイドルらしくない!!』が人気だ。毎回メンバーのひとりが登場しファンと討論するなど、地上波ではできない番組作りが支持を集めている。

 一つひとつの番組の視聴者数は地上波には及ばないが、ネット上にはそうした番組が無数にあり、ユーザーは好みに合わせて見ることができる。テレビを持たない若者が増えているのもうなずける。

 総務省調査によると、2013年度のテレビ視聴時間(平日、リアルタイム)は2012年度に比べ16.4分(約9%)減。中でも40~50代の視聴時間が前年度比で40分も減少した。テレビ離れは若者だけでなく、中高年世代の「卒テレビ」が顕著なのだ。

 視聴者が減ればテレビ番組の「商品価値」も下がる。広告代理店関係者の話だ。

「スポンサーにとって地上波にCMを出すメリットはどんどん減っている。料金は高いが全国にCMが流れることこそ地上波への出広の最大の理由だったが、BSに5分の1や10分の1の値段でCMを出したほうが商品への反響が大きいといったケースが増えている」

※週刊ポスト2015年3月27日号

関連記事

トピックス

高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン