スポーツ

毎度物議醸す女子マラソン代表選考 「一発選考」できぬ理由

 何度同じ騒動を繰り返すのか。世界陸上(8月・北京)女子マラソン代表の選考結果がまたも物議を醸した。五輪代表の選考をめぐり、高橋尚子、松野明美、弘山晴美といった名ランナーたちが苦汁を舐め、その都度、陸連批判の声が飛び交った。それなのにまた──。

 今回、代表切符を手にしたのは、前田彩里(ダイハツ)、伊藤舞(大塚製薬)、重友梨佐(天満屋)の3選手。一方、涙をのんだのが田中智美選手(第一生命)である。彼女が男女を通じて唯一の選考レースの優勝者だっただけに、不可解な選考を疑問視する声は後を絶たない。

 口火を切ったのは、元ロス五輪代表で解説者の増田明美氏だった。3月11日の会見で陸連幹部に「田中さんは優勝しているし、レース内容も良かったのでは」「これでいいんでしょうか?」と疑問を投げかけたのだ。

 スポーツライターの酒井政人氏は、選考基準の曖昧さを指摘する。

「これまで陸連は、順位や勝負強さが大事だといってきたのに、今回はレース前半の積極性を評価しました。180度姿勢が変わっています」

 さらには、公務員ランナー・川内優輝選手までもが「優勝して選ばれないというのはどうなのか」と苦言を呈する異常事態。スポーツ紙のベテラン記者は声を潜めてこう語る。

「陸連強化委員には天満屋、大塚製薬の委員がいるが、落選した田中の第一生命は委員がいない。それが関係してるというのが、もっぱらの噂です」

 いっそのこと「一発選考」にしてしまえばスッキリするのではないか。

「陸連はマラソン中継の放映権で収益を得ていますから、ひとつに絞るわけにはいかないんです」(前出・酒井氏)

 陸連が“大人の事情”ばかり振りかざせば、血のにじむ努力を続ける選手も、手に汗握るレースを望むファンもそっぽを向くだろう。

※週刊ポスト2015年4月3日号

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン