●『戦う!書店ガール』
正直、期待していなかったAKB・渡辺麻友のゴールデン初主演。ところがどっこい、幕が開けば勝ち気でまっすぐで社会の枠とは少しズレたお嬢様像を、まゆゆが好演。キャラクターのエッセンスを掴み、ネガティブな台詞も勢いよく、切れ味よく演技している。
AKBの中でも「お芝居を学びたい」と口にするだけあると、まだ荒削りのまゆゆに心地よく驚かされた。物語は「ペガサス書房」が舞台。お嬢様店員の亜紀(渡辺)と、アルバイトから苦労して副店長になった40代の理子(稲森いずみ)、正反対の2人が書店の仕事や恋にと火花を散らす。そこへ、今注目の王子・子犬系役者、千葉雄大が割って入る。
年上のオンナに「デコドン」。オデコにオデコをトンとつける仕草が話題を呼ぶ。千葉クンファンの主婦達のため息、悶絶ぶりが見えてくる。脇の濱田マリの存在も、スパイスとして効いている。まさしく配役の妙。
ネット上では本物の書店員から仕事内容にリアリティが足りないと、思わぬダメ出し、つっこみ満載で話題だけれど、ドラマとしての滑り出しは脚本、演出、役者の3つの力が何とかバランスを保っている。一方で視聴率は「初回6.2%の大惨事」と低調ぶりが騒がれた。
でも、考えてみよう。今や連ドラ録画のための機能を進化させた専用DVDレコーダーが発売される時代。同じ時間帯に3本話題作がオンエアとなれば、録画するドラマファンがどれほどいることか。
もはや、視聴者動向は数字で測りきれない時代。いよいよ視聴者の方も、視聴率は一つの参考として、数字に振り回されず、自分自身の目でドラマの仕上がりをしっかりと吟味すべし、ということでしょう。