石丸幹二がダンスを披露(NHK『みんなのうた』公式ホームページより)
そんな中、意外なところで新たな石丸幹二が「発見」されたのである。NHK『みんなのうた』。番組開始が1961年という長寿番組の2015年4月と5月のうたとなった『かいじん百面相』。ズッチャカチャーと弾みつつも、ちょっと怪しげなムードを漂わせるメロディーにのって出てきた黒い影。それは黒ハットに黒マント、黒マスクと黒ずくめの「かいじん百面相」なのである。
百面相は、あるときはダンサー、美容師、大統領などに扮して生きていると歌いだす。顔はマスクでわからないが、その歌声はもしかして?と思ったら、やっぱり石丸幹二だった。なるほど、さすが劇団四季時代に『オペラ座の怪人』で人気を博した俳優である。こりゃぴったりのムードだと思った矢先、突如、かいじん百面相はお祭り呪文で変身!
なんと今度は金髪チリチリ頭に大漁旗柄のようなお祭りルックに。赤いふぐ集団が空を埋め尽くし、緑色の龍がぐるぐるととぐろを巻く派手なお祭りCG画面の中でエイサッサ、シャンシャンシャン~とリズムをとってお陽気に踊りだしたのである。
思えば石丸は1996年に著名文化人の花舞台CMともいえるネスカフェ・ゴールドブレンドの「違いがわかる男」シリーズに登場。このシリーズは遠藤周作とか二谷英明とか渋めの人選だったのに、若々しい黄色いシャツの石丸が清流のほとりにひざまずき、美声を響かせる姿にはびっくり。うっとりさせられたものだった。
「違いがわかる男」から約20年。『みんなのうた』で、オペラ風の重厚ボイスとは正反対の甲高い声を聴かせながら、軽やかにステップを踏む石丸幹二。なんだかもう、すごいことになってきた。映画『王妃の館』ではルイ14世を演じているという。これからどこに行こうとしているのか。ますます楽しみになってきた。