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JR石巻線が全線開通 地元出身者が感激し涙腺ゆるみウルウル

サンマのすり身、女川汁にご満悦の木村和久さん

 震災から4年を迎えた今春、宮城県石巻は復興に向けてまたひとつあゆみを進めた。コラムニスト木村和久さんが高校卒業までを過ごした故郷の地・石巻市を歩く。

 * * *
 東日本大震災から約4年、石巻地方にも、ようやく遅い春がやって来ました。

 3月21日に、JR石巻線が全線開通したのです。石巻線というのは、小牛田~石巻~女川を結ぶ全長44.7kmのローカル線で、今までは震災の影響で部分営業をせざるをえませんでした。4年かけて少しずつ改修し、開業区間を増やしていたのですが、このたび最後の区間、浦宿~女川間2.3kmが再開し、全線開通の運びとなりました。

 これで復興に拍車がかかること間違いなしです。嬉しくて開通当日、女川町に行って参りました。

 女川町へは、東京から朝イチの新幹線に乗ると、10時ごろに着きます(古川まで新幹線。古川から小牛田まで陸羽東線)。途中、北上川の鉄橋を渡る時、たくさんの鉄道マニアのかたが写真を撮っていて、しかもみんなが手を振ってくれてます。じんわり胸があたたかくなりました。

 終点・女川駅のひとつ前、浦宿駅に着いた時は、おばちゃんや子供たちが、大漁旗を振ってお出迎えです。日ごろ乗降客が数人の小さな駅なのに、地元の人が全員集まったぐらいの大騒ぎ。“朝ドラ”の『あまちゃん』でよく見かけた、ローカル線の開通祝いセレモニー、そんな感じですか。女川に着く前に感激して、もう涙腺がゆるみ、ウルウルしてきます。

 さあいよいよ、次は最終目的地の女川駅。途中トンネルを潜るのですが、そこを通り抜けると、もう別世界でした。駅には軽く1000人は超えるぐらいの人が押し寄せており、こんだけの人、どっから湧いて来たのって感じです。人の多さに圧倒され、もはや感傷に浸る余裕もありません。すでに改札の機能は果たしておらず、降りる人、出迎える人、撮影する人などが交錯し、収拾がつかない状態です。

 ちょうど、10時過ぎから女川駅の再開を祝してセレモニーが行われました。女川町はこの期間、「まちびらき」というイベントを開催し、たくさんのテナントを並べて、お祝いをしていたんです。

 開業当日は、サンマのすり身が入った、女川汁が無料で配布。いや、これが実においしい。女川のすり身は、あまり魚くさくなく、ネギとの相性もよく、いくらでも食べられます。実は3杯もお代わりしました。さらに石巻やきそばも店を出してましたが、なんとこれも無料配布。そりゃ人が並ぶわけですね。

 そうこうしている間に、来賓のかたがたの祝辞が終わり、何をするかと思ったら、駅の2階部分から、あんこの入った餅をばらまき始めました。

 石巻地方では、新しい家を作ると、餅や菓子などをまく風習がありますが、まさか駅の開業でやるとは。冷静に写真を撮っているつもりでも、目の前に餅が降ってくると、つい手が伸びます。いや実にめでたい。あんまりまくので、気づいたら餅を5つもゲット。食べるとこれが柔らかくて、本当においしいんですわ。

 小腹も満たされイベントの終盤になると、今度は石巻地方のゆるキャラが大集合。え~、こんなキャラクターいたのっていうのがたくさんあり、びっくり仰天。それを見るにつけ、くまモンやふなっしーって、大スターなんだなと改めて思いました。今度は石巻地方発のゆるキャラで、一世風靡させたいですね。

※女性セブン2015年5月14・21日号

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