刀剣の楽しみ方は、やはり現物を間近にみること。博物館や美術館の展示も悪くないが、ガラスケースごしではなく実際に手に取ると、その美しさのとりこになるという。とはいえ、他の美術品と違って扱いを誤ると怪我をするため、刀を鑑賞するための作法を学べる初心者講座が必要だ。前述の刀剣博物館だけでなく、全国各地で開催されている愛刀家による鑑賞会でも同じように作法を学べる場所がある。
「ゲームのビジュアルを見た限りは、ありえない形の鍔など気になるところが多いです。いまのブームは特定の刀剣の物語性に惹かれてという方が多いと思いますが、ゲームを入り口に詳しく知りたいという方が多いのでしょうね、これまでほとんど絶版だったような日本刀関連書籍の増刷も相次いでいます。刀剣そのものの美しさに心動かされ、いつか愛刀家となってくださると嬉しいですね」(前出・久保さん)
バブル期にも日本刀が脚光を浴びたことがあるが、そのときは人気や価格ばかりを尋ねる投機目的の中高年男性ばかりで、日本刀を趣味とする人たちはうんざりさせられたそうだ。そのときの苦い記憶から、日本刀を愛する文化を残して伝えていきたい年配の人たちからは、『日本刀辞典』など書籍や雑誌を購入して沸(にえ)や匂(におい)といった独特の用語を学習し、勉強熱心な女性たちの登場は歓迎されている。
4月23日には刀剣を女子高生に擬人化したゲーム『しんけん!!』が正式サービスをスタートした。日本刀は女性だけでなく、男性にもファンを広げるかもしれない。