国内

安保法案 与党議員すら何ができるのか明確に理解していない

 今国会の最大のテーマとなる集団的自衛権行使などを可能にする安全保障関連法案。5月20日に開かれた党首討論では早くも自民党内での混乱が露呈した。民主党の岡田克也・代表の質問に、安倍晋三・首相はこう答えた。

「他国の領土に戦闘行動を目的に自衛隊を上陸させて武力行使させる、あるいは領海や領空において、そういう活動をすることはない」

 このわずか3日前、テレビ番組に出演した中谷元・防衛相は「北朝鮮が米国をミサイル攻撃した後に追加発射を準備する場合は、北朝鮮の基地を攻撃できる」と発言していた。“閣内不一致”だ。

 関連法は11法案もあって多岐にわたり、「党内でも読み込んだ人はほとんどいないだろう。地元で有権者に質問される場合に備えた“想定問答集”が用意されたが、それを覚えるのが精一杯」(自民党中堅議員)というから、与党議員すら今回の改正で何ができるようになるのか明確に理解していないのである。

 例えば中谷氏の主張が「領空・領海外から敵基地攻撃する」ということならばどうなるか。軍事評論家の田岡俊次氏が語る。

「北朝鮮の弾道ミサイルは移動式の発射機に載せて北部山岳地帯のトンネルに隠され、出てきて発射するまで新型のムスダンだと10分とされる。日本がF2戦闘・攻撃機を出しても間に合わない。北朝鮮にくらべ圧倒的に優勢な韓国空軍・在韓米空軍が必死で対処するから、日本の出番はないでしょう」

 要するに、最前線に出る米軍にせっせと給油するくらいが関の山なのだ(それが安倍氏と米国の密約だともいわれる)。

※週刊ポスト2015年6月5日号

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