国内

労働者派遣法改正 派遣の是非より正社員との差別撤廃目指せ

 通常国会で労働者派遣法改正案が審議されている。はたして法改正で派遣労働者の雇用は安定するのだろうか。

 現状は秘書や受付、通訳、情報処理など特定の28業務であれば、派遣会社との契約が有期だろうと無期だろうと、派遣先で無期限に働ける仕組みになっている。改正案は28業務の限定を取り払ったうえで、有期契約の場合だと最長3年で契約を打ち切らなくてはならなくなる。そこで民主党など野党は「これでは一層、雇用が不安定になる」と批判している。

 ところが、話はそこで終わりではない。改正案は期限が到来したら、「派遣会社が派遣先に直接雇用を働きかける」「新しい派遣先を紹介する」あるいは「派遣会社自身が有期契約を無期に変更する」ことを義務付けた。無期契約なら3年打ち切りルールを適用しない。

 なぜ改正かといえば、有期契約のまま無期限に働き続けるより「直接雇用や派遣会社との無期契約への移行を促したほうがましなはず」というのが政府の理屈である。それは一理ある。派遣料をもらえなければ元も子もないので、派遣会社の中には実際に無期契約に変えるケースも出始めているようだ。

 もっと根本の話は、そもそも法律が派遣労働を「一時的、臨時的」なものと差別している点だ。働く側からみれば、正規だろうと派遣だろうと、給料を含めた労働条件が同じであればいい。

 派遣というと「みんな正社員を望んでいるはず」と思いがちだが、実はそうでもない。「自分の都合の良い時に働きたい」「家計の補助」「家事、育児、介護等と両立させたい」という理由が全体の6割弱を占め「正規の仕事がないから」という理由は2割弱にとどまっている(労働力調査、2015年1~3月)。

関連キーワード

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト