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イルカ漁を批判する英国で近くキツネ狩りが復活する見込みに

 世界動物園水族館協会(WAZA)が、和歌山県太地町で捕獲されたイルカ入手をやめるよう日本動物園水族館協会(JAZA)に要求し、JAZAは受け入れた。欧米のイルカ漁反対派は「日本のイルカ漁は野蛮」と主張している。

 だが、イルカ漁反対を声高に唱える欧米人は自国の“動物虐待”から目を背けている。代表的な例が娯楽として狩りを楽しむスポーツ・ハンティングやスポーツ・フィッシングだ。

 イギリスの大手紙ガーディアンは、今回のWAZAの通告を報じる記事で、日本のイルカ漁を批判する立場を示した。しかし同国では、残酷だとして2005年に禁止された猟犬とともにキツネを追い回すキツネ狩りが、先の選挙で擁護派が大勝したことで復活する見込みである。理由は「伝統文化の継承」だという。「イルカを追い込めば野蛮」でも「キツネを追い回すのは文化的」らしい。

 スポーツ・ハンティングの中でも悪名高いのが、記念品として毛皮や剥製にするための頭部や角を収集するトロフィー・ハンティングだ。『動物保護運動の虚像』(成山堂書店)の著者で水産ジャーナリストの梅崎義人氏が語る。

「ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)では、クジラ、アザラシ、アフリカゾウ、ウミガメなど有色人種が狩猟する動物が狙い撃ちで貿易禁止とされている一方で、国立公園などにおけるスポーツ・ハンティングは例外措置として認められている。ジンバブエでは約100万円の許可料を支払えば狩りが楽しめる。ジープに乗り込んだ欧米人が動物を追い回し、仕留めた後は記念品として持ち帰ることもできる。

 反捕鯨の急先鋒であるオーストラリアでも、年間にカンガルーを約300万頭、ラクダを約80万頭、いずれも害獣という理由でハンティングの対象にしています」

 文教施設である水族館や、伝統としてのイルカ漁に反対する欧米人は、数多くの動物が人間の娯楽のために命を落としている事実をどう説明するのだろうか。

※週刊ポスト2015年6月12日号

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