国内

渡鹿野島が「現代の慰安婦」と報じられる可能性 各所の見解

 2016年のサミット(先進国首脳会議)開催地に決まった三重県志摩市にある渡鹿野島(わたかのじま)は、江戸時代から遊郭が栄えた歴史で知られ、今でも「売春島」と呼ばれることもある。最近、同島を訪れた50代男性によると、宿の女将はこう話したという。

「サミットが決まってからお客さんが急に増えたんです。昨夜はサミット関係の団体客が来ていましたよ」

 それもサミットがもたらす経済効果の一種かもしれないが、男性が前夜に出会った日本人女性はそんな“恩恵”には否定的だった。

「(サミットの主要会場である)賢島は観光客に恵まれているけど、志摩半島を挟んで反対側の渡鹿野島に観光目的で来るお客さんはあまりいない。サミットでこの島が潤うとは思えません。むしろ私たちの仕事に悪影響がなければいいけど」

 売春業に頼る産業構造から転換を図りたくても図れない島の事情が垣間見える。かつて同島を取材した社会学者の開沼博氏が語る。

「渡鹿野島は高単価・高収益の産業である売春を基盤として成り立ってきました。近年、観光地としての魅力を前面に押し出してファミリー層を呼び込もうとしていますが、今も売春業が存在しているということは、観光業だけでは島の経済を維持することが難しいということ。日本の近代化の輝かしさから隔絶された地方が『裏の顔』を捨てるのは容易ではありません」

 来年訪れる、外交団・報道陣合わせて数千人の外国人がサミット会場の“目と鼻の先”にある「売春島」の実態を知り、世界に発信すれば日本のイメージダウンは避けられない。ましてや、売春婦の多くがアジア人女性となれば、「現代の慰安婦」と批判的に報じられる可能性もある。

 志摩市に取材すると、

「渡鹿野島での売春の事実は把握していない。過去のイメージを払拭するために観光PRのための振興策は講じている」

 と回答した。外務省と三重県も同様に、

「初めて聞いた。対策は三重県に聞いてほしい」(外務省経済局政策課)
「把握していない。今後対策をとる予定もない」(三重県サミット推進局)

 との回答だった。

※週刊ポスト2015年6月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン