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北海道ひき逃げ事件 飲酒隠ぺい立証されれば3年刑期上乗せも

 北海道美唄市と滝川市を結ぶ国道12号線は、実に29.2kmにわたってカーブがない“日本一長い直線道路”と呼ばれている。南北に延びるその道路の中盤から少し北寄りにある砂川市内の交差点で、6月6日夜10時半過ぎ、家族5人を乗せた軽ワゴン車と乗用車が衝突する事故が発生した。

「時速100km以上の猛スピードでぶつかられた衝撃で、軽ワゴン車は約50mもはじき飛ばされていました。軽ワゴン車に乗っていた会社員の永桶弘一さんと妻の文恵さん、長女の恵さんが車内で死亡したほか、次女の光さんが重体。さらに現場から直線距離で約800m離れた路上で、長男の昇太さんの遺体が見つかりました」(捜査関係者)

 警察は危険運転致死傷の疑いで、事件を起こした乗用車を運転していた谷越隆司容疑者(27才)を逮捕。さらに、一緒に走行していた別の車を運転していた古味竜一容疑者(26才)を、車外に投げ出された昇太さんを約1.5kmにわたって引きずって死亡させたひき逃げの疑いで逮捕した。

 この夜、容疑者2人は車に同乗していた3人と市内の居酒屋で飲酒。その後、別の店への移動中に事件を起こした。

「以前から、2人の容疑者を含むグループが車で付近の飲食店にやってきては、飲酒している姿が目撃されていました。また、2人とも暴力団とのつながりがあったのか、“バックにはヤクザがついている”とすごんでいたので、なかなか周囲は飲酒運転を指摘できなかったようです。事故直前には、現場近くの防犯カメラにカーチェイスのように爆走する2台の車が写っていましたが、2人は普段から暴走行為を繰り返していました」(全国紙記者)

 容疑者たちの無法な行いに、突然奪われたなんの罪もない4人の命。しかし、衝撃的な事件を起こしたはずの彼らは、事態が発覚したあとにも、その極悪ぶりを発揮していた。

「谷越容疑者は事故直後、“信号は赤だった”と自身の信号無視を認める供述をしていましたが、逮捕の際には“事故を起こしたのは間違いないが、信号は青だった”と翻しました。ところが、同乗していた別の人間が“赤信号だった”と証言しています。恐らく、少しでも罪を軽くしようと供述を変えたのでしょう」(前出・捜査関係者)

 一方の古味容疑者も、「事故が起きて何かが車にぶつかったが、人をひいた認識はない」と容疑を否認。しかし、引きずりながら走行した路上には大きく蛇行した跡があり、昇太さんの体を振り落とそうとしたとも考えられるのだ。

 いずれも現場には映像とともに歴然たる証拠があるにもかかわらず、謝罪したり後悔するのではなく、言い逃れを続ける2人。

 このあまりにも卑劣すぎる容疑者たちの言動には状況が明らかになるにつれ怒りが増幅する。今後どのような罰を受けるのか? 刑法学者・板倉宏氏はこう話す。

「事故の原因の谷越容疑者は、恐らく懲役18年ほどの刑が下ることになるでしょう。逮捕容疑の危険運転致死傷では、過去に10年以下の懲役になったケースもありますが、今回は飲酒運転で、さらに3人を死に追いやっていますからね。一方、ひき逃げをした古味容疑者は、懲役10年ほど。どちらも悪質な上、罪を逃れようと証言をコロコロと変えたり、嘘の供述をすることは裁判官に悪印象を与えますから、さらに厳罰に処される可能性もありますね」

 また、古味容疑者が警察に出頭したのは事件を起こした翌日。彼はこの間に酒を抜き、飲酒運転の罪さえ免れようとしたといわれている。

「アルコールや薬物の影響で事故を起こしたときに、その発覚を恐れて血液中の濃度などを下げる目的で現場を離れることを処罰する、『発覚免脱罪』というものがあります。今回のケースでも飲酒を隠そうとしたことが立証されれば、3年ほど刑期が上乗せされることになるでしょう」(前出・板倉氏)

※女性セブン2015年7月2日号

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