──なぜです?
石川:実は、60歳になるちょっと前までの1年がすごく嫌で嫌で。60歳になったいろんな人に、どうだったって聞いて回ったんですよ。
ある人は、単なる通過点だよっていうし、やっぱり60歳は重いねっていう人もいるし、そこからもう考え方を変えて、今年のお正月あたりから、60歳になるんじゃなくて、3回目の成人式を迎えるんだという発想に変えたんです。
ですから質問の「もし違う人生だったら」とは考えなくて、3回目の二十歳からの、次の20年をどうしようかと。
──どうするんですか?
石川:最初の成人式からの20年、つまり20歳から40歳は就職や結婚があって、無我夢中で家族のため会社のための20年でしたよね。次の40歳から60歳までは、バンダイナムコの統合があったし、まさしくどっぷり会社のために使った20年でした。
で、今度の60歳から80歳は、ま、前半ちょろっとはまだ会社のことがあるのでしようがないとしても(笑い)、残りはもう全部自分のために使いたいなって考えるようにしています。
──自分のために何をしますか?
石川:本気で立ち食い蕎麦屋をやりたいなと思っています。
──えっ?
石川:料理が好きなんです。でもこの歳で本気で日本料理店はやれないし。立ち食い蕎麦って面白そうじゃないですか(笑い)。
※週刊ポスト2015年6月19日号