芸能

バンドで生活するために大事なのは「身体の強さ」と継続性

 現在売れっ子のアーティストのなかにも、「つい最近までバンド活動をしながらアルバイトをしていた」というエピソードを語る人は少なくない。たとえばインディーズで活躍していた5人組ロックバンド「キュウソネコカミ」のボーカル・ヤマサキセイヤはメジャーデビューが決定した後もバイトに通い続けていることをSNSで公言していた。

 一般的に、よほど売れない限りバンド活動だけで食べていくことは困難だと言われるが、ではバンドマンとして生活していくためには、どういったことが重要なのか。某音楽レーベルに勤務する男性・Aさん(41歳)は、こう語る。

「バンドだけで食べていくのは、バンドの規模にもよりますが、とても難しいことは事実です。もちろん売れるためには才能も重要ですが、まず、なによりも大事なのは身体の強さが必要です。ライブハウスクラスで演奏するバンドの場合、ツアーなどの移動は基本的に機材車に乗る長旅です。メンバー自身が運転することも多いですし、機材車で寝泊まりしたりすることもざら。だから男性よりも、女性のほうがバンド活動をするのは難しいですよね。

 こういう肉体労働的な側面に加えて、個性が強いメンバーたちが仲間割れを起こさずに一つの音楽を作ることができるかも大きな問題です。たとえば、バンドのリーダーや、ボーカルに、周りが絶対的に合わせていく、そういう折り合いをつける姿勢があるかという点も重要ですね」(Aさん)

 一時期メジャーで活動していたというバンドマンの男性(Bさん・30代)はこう話す。

「バンドで生活するために必要なのは、“やめないで続けること”だと思いますね。事務所の給与形態にもよりますが、事務所に所属していれば一応給料をもらえる。だから地道に活動を続けていれば、質素な生活であれば送れちゃうんですよ。でも、メンバーの中でも作詞・作曲などやってる人は入ってくるお金も全然違うので、それで格差が生まれて揉めるきっかけになることも多い。

“ガチで音楽が好き”っていう人が集まっても、今度はやりたい音楽の違いをどう折り合いをつけるか、という問題も出てきます。結局、いろんな問題があっても、いかにして同じメンバーと一緒に続けていけるのかが重要だと思います」(Bさん)

 一見すると好きなことをやっている自由人のように思われがちなバンドマン。しかし、バンドで食べていくためには、肉体労働的な側面に耐えうる身体の強さをもち、メンバー同士が結束して継続していく姿勢が肝心のようだ。

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