ミドル脂臭の容認度は男女でやや差があり、「許せない(我慢できない)」は男性が66.3%に対し、女性は81.3%――ほとんどの女性が「ミドル脂臭、ムリ!」と感じる結果となっている。一方、最も容認度が低い「全く許せない(我慢できない)」の数値を比較すると、男性17.4%、女性17.6%でほぼ同じ値になるのだが、この数値は3種類の体臭のうち1番割合が多く、ミドル脂臭は“許されない”度が高い。
さらにミドル脂臭には、もうひとつ厄介な特徴がある。東北大学と同調査を行なったマンダムの共同研究「体臭成分別感受性報告」では、個人によって感度のバラツキが大きい臭いという結果が出ている。
具体的には、ミドル脂臭の成分であるジアセチルは、ほんの少し臭っただけでも「不快で我慢できない」人が少なくない。その反面、かなり濃い臭いでも「わからない」人が一定数いるという、極端な結果を示したのだ。これは、ほんの薄っすらでも耐えられない人が多いのに、かなり濃い状態でも感知できない人が少なくない――ミドル脂臭は、気づきが難しいという意味で、本人が対策をとりづらいということ。
臭いに関する各種の調査データをみると、必ず「臭うと思ったら指摘してほしい」という意見がみられる。しかし、この望みは本当だろうか? 実際に女性がパートナー男性に伝えられるかというと、「脱いだ靴下を『脱ぎ散らかさないで』と、頼むだけでも不機嫌になるのに、クサイなんて言えない」(30代・会社員)、「クサイと言おうものなら、きっと旦那はいつまでも拗ねるから面倒」(40代・主婦)など、なかなか言い出せないという声も多い。
しかし、ミドル脂臭を振り撒くようでは、パートナーの職場の人間関係や評価に影響する。特に女性は「臭いよね」と、共感を求める傾向があるため、ネガティブ情報が共有され広まる上、この共感には「○○さん、奥さん(彼女)に大事にされてないんじゃないの?」という憶測つきになる可能性が高い。そこで、心理学が専門の東北大学・坂井信之准教授に、「どうすればパートナーを傷つけずに、臭い対策をとれるのか?」を聞いた。