同書ではスマホや携帯電話でレポートを作成しないといった基本的なレポート提出の作法から始まり、コピペではなく引用や言い換えをする方法、Microsoft Wordの引用機能の使い方などを解説している。ウィキペディアを引用として利用する方法など図解入りのわかりやすさが評判を呼び、初版から2年経った今年6月には7刷を数えた。
もっとも、25万部を超えるロングセラーとして知られる『大学生のためのレポート・論文術』(小笠原喜康、講談社現代新書)や『論文の教室―レポートから卒論まで 』(戸田山和久、NHKブックス)と比べると論文作成向けには物足りないかもしれない。しかし『コピペと言われないレポートの書き方教室』は、初めてレポートを作成する学生には十分な内容だ。
「初心者向けでは『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(山内志朗、平凡社新書)が有名ですが、読むと高度な内容も含んでいます。『コピペと言われない~』では、コピペではなく引用や言い換えをしてもそれほど手間はかからないというメッセージになるよう心がけました。今のところ改訂の予定はありませんが、Microsoft Wordのバージョンが変わったら、わかりやすさを維持するために改訂しなければならないかもしれません」(前出・高橋さん)
2~3時間程度で読める手軽さから、指導する教員たちからも「これなら学生も読んでくれた」と評判が高い。そして何でも「人それぞれ」で済ませずに、自分の意見を根拠づけられるようになって民主主義の社会を実現してほしいと願う巻末の言葉への反響も大きい。
「学生のみなさんにはレポートを作成するテクニックを身につけて終わるのではなく、コピペに対する罪の意識からではなく論理的に考えて文章を構成することを学び、自分の意見を自分で作り出す喜びを知ってほしいです」(前出・高橋さん)
民主主義の意味が大きく問われることが続いている。コピペと言われない自分の言葉を持つために、学生だけでなく大人も学ぶべきことなのかもしれない。