スポーツ

娘がゴルフプロ合格した母「小中学時代は年約200万かかった」

 幼少期からスポーツのエリート教育は珍しくなくなった。プロゴルファーを育てるには、いくらかかるのかについて、ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 女子プロゴルファーの横峯さくらがデビューして間もない2005年、“さくらパパ”として人気者となっていた父・良郎氏に密着したことがあった。鹿児島の片田舎に、私財1500万円を投じて作ったという練習場「めだかクラブ」を案内してもらいながら、彼の言葉に妙に納得したことを覚えている。

「学のないオレの娘だから、スポーツで飯が食えるように育てたかった。女が大金を稼げるプロスポーツはゴルフぐらいやろ。もちろん、プロになれる保証なんてなかった。今思えば、博打だったよな」

 良郎氏はプロを目指した3姉妹の練習代を稼ぐために、複数の弁当屋や居酒屋を経営し、練習場を作る際には自宅まで売り払った。さくらが明徳義塾高校に通っていた頃は、マイクロバスをキャンピングカーに改造し、移動費や滞在費を浮かせながらプロのトーナメントに参戦していた。3姉妹は長女とさくらがプロになったが、かかった金額は5000万円を優に超えた。

 息子や娘をプロアスリートに育てるそれは親が子の将来に対して行う投資であり、その成功率の低さからすれば確かに博打だ。

 家族の金銭的負担が大きいゴルフは、プレーする上で必要なギア(道具)の数からして他のスポーツを圧倒する。ウッド、アイアン、パターに、それを収納するゴルフバッグ。コースに出るためにはプレーフィーを払い、ボールやティーなども用意しなくてはならない。子供用のクラブセットは安価なもので1万円程度だが、成長著しいだけに買い換える頻度は大人より多い。

 部活動で行っている学校が少ないため、練習場や指導者も個人で見つけなければならない。バブルの崩壊後、ジュニアを受け入れるゴルフ場(コース)が増えたといっても、一日数千円はかかってしまう。さらにレッスンプロに個人指導を受ける場合は、90分1万5000円ぐらいが相場か。

 2年前に娘がプロテストに合格した福島県の母親がいう。

「練習ラウンドを含めて1回の遠征で30万円近くかかります。小中学時代は、年に約200万円ほどかかりました。子どもの成長を考えれば、可能な限り大会には出場させてあげたい。でもそれが家計には大きな負担です」

※SAPIO2015年8月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン