「美術館はね、すごい場所なんです。ぼくに気づいて『あっ』って思っても、声を出して騒いじゃいけない。今、この時代に、携帯で写真を撮っちゃいけない場所なんてほとんどないけど、美術館は、騒いでもいけない、写真も撮れないから、混みあってるところでも、入るだけ入っちゃえば、みんな『はっ!』ってなるだけ。美術館のスタッフの人たちは、ちょっと『大丈夫か?』って空気にはなりますけど、『こんにちは~』って目で挨拶して」
その瞬間の無言劇を想像するとおかしい。街で道路工事の人や配達の人に気軽に話しかけられたりもしており、いつもスタッフにがっちりガードされ、人目を避けて行動、という毎日ではないらしい。
「20代前半までは人ごみが苦手だったり、どこに行っても周りが自分のことを知っているから外を歩きづらい、というのはありました。たぶん、どこかでスイッチが切り換わって、変な言い方ですけど、『これはもう無理だな』っていう瞬間があったんじゃないかな。隠れてても無理、みたいな。その時から、街を歩けばみんな知り合い、ってそんな気持ちに切り換えるようになりました」
SMAPのメンバーそれぞれとの距離感、向ける思いやブログへの登場のしかたも興味深い。
「本にするためゲラをチェックしていて、ゴロウちゃん(稲垣吾郎)のことがいちばん書いてあったのが自分では面白かったです。ツヨポン(草なぎ剛)はちょっと近すぎて、家族のことをこういうところに書くの、みたいな気持ちがあるのかな。でも近いぶん、写真はたくさん載ってます。木村(拓哉)くんと中居(正広)くんのこと書くときは考えちゃうのかな。で、ゴロウちゃんがいちばん多くなったんだと思います(笑い)」
本にも出てくる、その稲垣が司会をつとめるブックバラエティー番組『ゴロウ・デラックス』(TBS系)に、念願叶って『慎語事典』の著者として出演した。
(取材・文/佐久間文子)
※女性セブン2015年8月13日号