「広報部長」は企業情報化時代の花形ポストのように思われがちだが、華々しいニュース発表や製品PRだけが仕事ではない。ひとたび不祥事が起きれば、マスコミの矢面に立つトラブルシューターにもなる。最近は業務の幅が広がり、彼らの心労は高まる一方だという。
その実態を探るべく、内情に詳しい記者を集めて緊急座談会を行なった。出席者は、銀行担当の40代経済誌記者A氏、同じく40代で自動車業界に詳しい大手紙記者のB氏、航空業界に明るい30代若手記者C氏、電機業界を中心に長く取材してきた50代のベテラン経済記者D氏だ。
B:「不祥事とは別の意味で苦労するのが、新社長人事の発表。例えば、自動車メーカーでは、社長人事は社内でも一部しか聞かされないトップシークレット。広報部はそれをマスコミや社内に漏れないようにしながら、リリースを作って準備する。部下にも当然箝口令を敷くけど、正式発表までは気が気じゃないらしい」
A:「ポーカーフェイスも広報部長に求められる素養の一つですよね」
B:「でも、付き合いは長いのにポーカーフェイスっていうのはどうなのかね? 実はある広報部長と食事した翌日に、その会社の社長交代人事の発表があったんだよ。交代なんておくびにも出さなかったから、そりゃもう驚いたよ。
後で聞いたら『ドタキャンしたら、何かあるって勘繰られるでしょ?』だってさ。あぁ、今思い出しても悔しい」