そして、個食のインスタント食品人気に加え、保存に適した加工技術から非常食としての需要もジワジワと高まってきているのが、フリーズドライ食品だ。生鮮食品から調理済みの食品まで“何でも”いったん凍らせて真空状態にし、中の水分を抜くことで乾燥させている。
フリーズドライ食品大手の天野実業では、アマノフーズブランドで味噌汁やスープのほか、パスタやリゾット、鍋にいたるまで常時200種類以上の商品を販売している。
同社商品の賞味期限はほとんどが1年と非常食にするには短めだが、日頃食べた分を補充しながら有事にも備えられる利便性を広めようと、8月31日より詰め合わせ商品『食べながら備えるローリングストックBOX』をウェブ通販限定で発売した。
「ローリングストックとは、普段から使用している日用品を多めにストックしておき、使用した分を小まめに補充しながら有事の際には非常用としても活用する方法のことです。
保存食というと、どうしても買っただけで満足してしまい、賞味期限の管理を忘れてしまいがちです。でも、日常的に消費している商品を備蓄にも回すのであれば難しくありませんし、防災意識も身近に感じられると思います」(天野実業・広報担当の中村勇也氏)
首都直下型地震を見据えた緊急対策推進基本計画では、「最低3日間、推奨1週間の水や食料」の備蓄が望ましいとされている。
確かに、日頃から食べ慣れない非常食をどっさりと袋につめてタンスの奥にしまっておくぐらいなら、味もおいしくバリエーションに富んだインスタント食品を素早く持ち出せたほうが、いざという時によほど役立つはずだ。