そもそも、どうしてこうも年金はミスが重なるのか。年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。

「年金記録の入力ミスによる『宙に浮いた年金問題』など、旧社保庁時代からずさんな管理体質は変わっていません。加えて今は過去に比べて制度が複雑化しており、被保険者はもちろん年金業務を担当する職員ですら知識不足であることが少なくありません」

 ミスは今後も増える可能性があるという。

「今年10月から三共済(国家公務員、地方公務員、私立学校教員の共済年金)が厚生年金と一元化されます。しかし、年金事務所のコンピューター端末で全員の加入歴を把握できる厚生年金とは異なり、これら共済の加入歴はそれぞれの共済組合に照会する必要がある。確認漏れが危惧されています」(北村氏)

 過払いによる多額の返済義務を突然負わされないためにはどうすればいいか。北村氏のアドバイス。

「数字の打ち込みミスによる過払いが非常に多い。まずは『ねんきん定期便』やインターネットで自分の生年月日や加入歴のチェックを怠らないようにしましょう。ただし、それだけでは判明しないケースも多々あります。面倒でも、一度は自分や配偶者の年金記録にミスがないか年金事務所の担当者に確認するしかありません」

 いつも大失態のツケは国民が払わされる。

※週刊ポスト2015年9月11日号

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