9月にも実施される可能性のある米国の利上げによって、株式市場にはどんな影響があるのか。これまで国内小型株中心の運用で「R&Iファンド大賞」を4年連続で受賞した「ひふみ投信」の運用責任者・藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス取締役・最高投資責任者)は、「内需の大型株の値動きに注意すべきだ」という。以下、藤野氏が解説する。
* * *
いま日本株を取り巻く環境に大きな転換が起き始めている。アベノミクスを機に2012年末から日本株は大きな上昇を見せてきたが、ここにきて肝心の安倍内閣の支持率が低下。高い支持率を背景に数々の政策を打ち出してきたアベノミクスも危うさが漂い始めている。
海外に目を向けると、ギリシャ問題は落ち着きを見せているものの、中国市場の混乱は収まらず、米国の利上げも控えて、しばらくはポジティブな材料も出てこないだろう。
それら国内外の要因を考えていくと、当面は日本株も指数全体が大きく上がる状況ではないと見ている。
特に厳しいと見られるのが、円安を追い風にこれまで相場を牽引してきた外需の大型株だ。為替もここまで円安に振れてくると、さすがにここからの一段安は考えにくい。何より中国の景気減速で需要が弱まっている自動車や機械、建設機械などのセクターは懸念材料が山積みとなっている。
一方で内需はどうかというと、設備投資は更新需要で堅調、消費もさほど悪くない。まして国内景気が傾こうものなら、補正予算や日銀の追加金融緩和「黒田バズーカ第3弾」まで予想されるため、今後も堅調と見ていいだろう。
ただ、内需の大型株にはある大きな問題が潜んでおり、この先、注意が必要となりそうだ。内需の大型株に何が起ころうとしているのか。順を追って説明したい。