国内

マイナンバー制度 米国では信用偏差値による社会的格差拡大も

 もうすぐ始まる「マイナンバー」制度。クレジットカードとも紐づき、犯罪多発の危険にもさらされる挙句、格差をも生み出す可能性があるという。消費生活評論家の岩田昭男さんに話を聞いた。

 * * *
「マイナンバー」制度とは、国民全員に1つの番号を発行して、その番号でさまざまな情報管理を行おうとするシステムのことです。米国の社会保障番号(SSN)に相当し、施行の目的は行政(国)が管理をしやすくすることだといわれています。サービスの開始は来年1月からですが、今年の10月には、住民票に記載のある家族全員にマイナンバー通知カードが届く予定となっています。

 当初は「社会保障」(年金など)、「税金」(確定申告など)、「災害」の3分野に限定してマイナンバーを利用することとなり、当面は個人の日常生活に大きな影響はないでしょう。しかし、2018年以降は民間利用の解禁が予定されており、銀行口座、クレジットカード、年金や保険といった金融情報がマイナンバーに紐付くことになります。

 それは私たちにとって、いいことばかりではありません。むしろ、「振り込め詐欺」のような犯罪が多発することが危惧されます。マイナンバー先進国の米国では、社会保障番号を盗まれたことで、自分名義のクレジットカードをつくられて身に覚えのない金額を請求されるという事件が頻発しています。

 また米国では、2006~2008年の3年間に、1170万人もの米国人が年金や失業給付金の不正受給といった「なりすまし」被害に遭ったといわれています。そうした被害件数があまりに多いために、米国政府機関はできるだけ社会保障番号を利用しないようにシステムを更新するなどの対策を進めています。

 このような犯罪の犯人は犯罪組織や悪人とは限らず、身近にいる家族や友人などの場合も少なくないので、問題は複雑です。たとえば、親の社会保障番号を子供が盗み見て勝手にクレジットカードをつくり、好きなものを買いあさり、単なる犯罪で終わらず家庭崩壊に至るといったケースもあるようです。ここに、数年後の日本の姿を見る気がします。

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン