芸能

M-1復活で注目の変更点とTHE MANZAIどうなる?を評論家解説

サンドウィッチマンは2007年のM-1グランプリで敗者復活から優勝

 この冬、5年ぶりに復活するお笑いの祭典「M-1グランプリ」。漫才の腕を競い合うこの大会をステップに、これまで多くの芸人が売れっ子への道を切り開いてきた。中川家、フットボールアワー、ブラックマヨネーズら優勝者だけでなく、ナイツ、オードリー、ハライチなど決勝進出者からも多くの売れっ子芸人を輩出している。今年はいったいどんな芸人が現れるのか、ファンは待ち遠しいに違いないが、5年も開催されなかったイベントが、なぜ今になって復活することになったのだろうか。

 お笑い評論家のラリー遠田さんはこう解説する。

「M-1にかわって2011年から始まった『THE MANZAI』ですが、M-1ほどの存在にはなれませんでした。そのため何度かM-1復活説が流れることがあったのですが、M-1は島田紳助さんの肝いりで始まった大会。紳助さんが芸能界を引退してしまっているので、復活はないだろうと見られていました。それでも紳助さんの引退騒動のほとぼりも冷めたということで、今年復活することになったんだと思います。

 復活するうえでの一番のポイントは、これまでの権威を保てるか、ということ。M-1というのは、紳助さん、そしてダウンタウンの松本人志さんという、名実ともに頂点を極めた人たちがいたからこそ、漫才チャンピオンの決定戦としての権威がありました。今回復活できたということは、松本さん他、大物を引っ張り出せるめどが付いたということでしょう」

 これまでも立川談志、中田カウス、オール巨人など、誰もが認める実力者が審査員の中にいた。今年の審査員が誰になるかも注目だ。

 今年のM-1の大きな変更点といえば、参加資格がこれまでの結成10年以内から、15年以内に緩和されることだ。これはM-1が開催されなかった5年間が考慮されての措置だが、ラリーさんによれば、表向きの理由以外にも、お笑い界のこんな事情があるからではないかという。

「M-1が始まった頃は、漫才師は10年経ったら一人前になっていないといけないと考えられていました。自分のファン層だけでなく、子供からお年寄りまでが笑えるような芸ができていないといけない。でも今は、『10年ではまだまだ』といわれていて、みんなが面白いという芸人はだいたい10年以上のキャリアがあります。見る人の目も肥えてきて、求められる水準が上がっているので、売れるまで時間がかかるようになっているのです。

 昔は面白ければ10年以内で売れていたけれども、今は10年以上、中には20年ほど経ってから売れる人も少なくありません。そんな事情もあって、制限を結成10年まで下げきれなかったのではないかと思います」

 確かにこのところ、バイきんぐやハマカーン、博多華丸・大吉など、遅咲きの芸人が多い。こうした素材がまだどこかにいることを考えれば、15年でも“若手”と呼べるのかもしれない。

 一方、M-1復活の裏で気になるのは、THE MANZAIはどうなるのか、という点だ。テレビ局は違えど、どちらも吉本興業が主催者となっているイベント。今年のTHE MANZAIは、まだ開催されるかどうかも判明していないが、廃止されてしまうのだろうか。

「目指す頂点が2つあるというのは、実は若手芸人にとってはややこしいことです。どちらに力を入れたらいいのか分からない。そのためM-1は実力を競う大会として、THE MANZAIは特番として存続していくのではないかという共存説があります。M-1は、失敗できない一発勝負の緊張感があるコンテスト形式。一方、THE MANZAIはコンテスト形式ではなく、リラックスした雰囲気の中での漫才特番。共存する場合はそのようになるのではないでしょうか」(ラリー遠田さん)

 帰ってくる国民的お笑いイベント。ニュースターの誕生はあるか?

関連記事

トピックス

起訴に関する言及を拒否した大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、ハワイ高級リゾート開発を巡って訴えられる 通訳の次は代理人…サポートするはずの人物による“裏切りの連鎖” 
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
新体操フェアリージャパンのパワハラ問題 日本体操協会「第三者機関による評価報告」が“非公表”の不可解 スポーツ庁も「一般論として外部への公表をするよう示してきた」と指摘
NEWSポストセブン
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
代理人・バレロ氏(右)には大谷翔平も信頼を寄せている(時事通信フォト)
大谷翔平が巻き込まれた「豪華ハワイ別荘」訴訟トラブル ビッグビジネスに走る代理人・バレロ氏の“魂胆”と大谷が“絶大なる信頼”を置く理由
週刊ポスト
大臣としての資質が問われる(写真/共同通信社)
三原じゅん子・こども政策担当相が暴力団とゴルフ写真の“反社疑惑”にダンマリの理由「官邸は三原氏のことなど構っていられない」
週刊ポスト
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
NEWSポストセブン