「メスを入れた正常組織にがん細胞が集まり、暴れることが多いんです。また、初発病巣を手術で取り除くと、潜んでいた転移巣が急激に増殖するケースも多々ある。“このまま放っておいても1年で死ぬことはない。1年以内で死ぬとすれば、手術や抗がん剤治療を受けた場合です”と伝えました。抗がん剤は胆管がんには効かず、副作用しかありませんからね」(近藤医師)
手術に代わる治療法として近藤医師は、病巣を焼き尽くす「ラジオ波焼灼術」を提案。この施術は放射線治療よりも効果が期待でき、正常組織にメスを入れる手術と違ってがん細胞も集まらないという。
「主治医に相談してみます」
川島はそう言って外来を後にした。
しかし、結果として川島は、近藤医師の元を訪れた4か月後の昨年1月に摘出手術を受けた。
主治医との間で如何なる話し合いがもたれたかは明らかではないが、半年後の7月にがんは再発。その後、川島は抗がん剤治療や放射線治療を拒否し、激痩せした姿が話題となった。
近藤医師が続ける。
「わずか半年で再発したのは、手術が原因だったからと考えられます。手術を受けなければ、今も生きていた可能性がある。ただ、体に毒である抗がん剤治療を拒否したのは立派でした。抗がん剤を使っていたら、死の1週間前まで舞台に立つことは叶わなかったでしょう」
(後編へ続く)
※女性セブン2015年11月19日号