芸能

NHK『新・映像の世紀』 慰安婦をどう描くかで真価問われる

 世界中の映像アーカイブスから素材を収集し、1995~1996年に放送されて高い評価を得たNHK『映像の世紀』。10月25日からその新シリーズの放送が始まった。第1回「百年の悲劇はここから始まった」では第一次世界大戦が描かれた。今後は月1回ペースで放送されていく(全6回)。
 
 劇作家・映画プロデューサーで『チャップリンとヒトラー』(岩波書店刊)の著者・大野裕之氏はこう評す。
 
「第1回は第一次大戦から20世紀の様々な悲劇が始まった構図をわかりやすく描いていました。敗戦後、ドイツ皇帝・ウィルヘルム2世が亡命先で薪を割っている場面には、こんな映像が残っているのかと驚きました。残酷な死体も含め、当時の映像を包み隠さず見せる姿勢は高く評価します」
 
 一方、20年前の『映像の世紀』を高校時代に貪るように見たという評論家・宇野常寛氏は首を傾げる。
 
「正直、期待外れでした。まず素材となる映像資料が弱い。そして解説も中学校の教科書レベルの薄さで、これでは歴史ファンは納得しない。日本の中流を舐めてるとしか思えない。さらに悪質なのが陰謀史観全開のストーリーを映像の与える印象と意図的に誤読を誘うナレーションで押し付けてくる詐術にはヘドが出ますね。いまのテレビ業界の無能と思い上がりを象徴する第一回だったかと」
 
 たしかにアメリカ参戦の理由が金融資本家による圧力にあったように描くなど、強引な展開であった印象は強い。
 
 ただ、「むしろバランスを取ろうとしていないのが面白い」と語るのは現代史研究者で『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)の著者・辻田真佐憲氏だ。

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン