──たしかに、あまり見かけなくなった気がします。
高須:いわゆる貧困ビジネスってやつだよ。生活保護の申請の仕方を知らないホームレスを集めて、代わりに生活保護を申請して、懐に入れている人たちがいるんだってね。ホームレスにはすごく安い家賃の家をあてがって、最低限の生活費を与えて、残った生活保護費をせしめるっていうわけだ。
──下流老人が食い物にされる側面もあると。
高須:だから、難しいんだよな。生活に困って、最終的に刑務所に入りたくて犯罪を犯すなんていう老人も増えちゃうんじゃないかな。でも、そうなると今度は裁判も増えるし、刑務所はパンパンになるしで、微罪だと警察は見て見ぬふりをするようになるかもしれない。
──うーん、難しいですね。
高須:結局、やっぱりお年寄りの雇用を増やすことが重要なんだよ。今のお年寄りは元気な人も多いから。いちばんいいと思うのは、少子化対策にお年寄りを役立てること。育児をお年寄りに任せれば、子供はお年寄りの知恵を得られるし、お年寄りにとってもボケ防止になるし、すごくいいことばかりなんだけどなあ。
あとは、おじいさんやおばあさんが孫を育てている家庭に手当が出るような制度を作ればいいと思うよ。「孫育て手当」というかね。そういう手当があれば、子供を作ろうと思う夫婦も増えるはず。それに孫がいればお年寄りも孤独にならずに済むし、下流老人の増加を食い止めることだってできると思う。少子化対策にもなるし、下流老人対策にもなるし、すごくいいと思うんだけどなあ。
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下流老人問題を解決するためのアイディアとして、お年寄りを少子化対策に役立てることを提案する高須院長。下流老人が高齢化社会の産物であるならば、少子化対策をすることが根本的な解決につながるのは間違いない。いますぐ採用すべき素晴らしいアイディアなのでは?
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。