芸能

サムライせんせい 現代語と幕末の言葉の「変換」が笑えると話題

『サムライせんせい』では坂本龍馬のキャラも話題に。演じる神木隆之介

 現代にタイムスリップした幕末の志士・武市半平太が痛快に世直ししていくコメディ時代劇『サムライせんせい』(テレビ朝日系)。坂本龍馬らと現代のチャラ男、ギャルとのやりとりが笑えるが、現代語と幕末時代の言葉の“変換”や、たまに飛び出すあり得ない勘違いなどが「ウケる」とネットで話題になっている。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんがその面白さについて綴る。

 * * *
 映画『ちょんまげぷりん』に続いて、またまた錦戸亮がタイムスリップ?と驚きつつ見ているドラマ『サムライせんせい』で、つくづく思うのは、「言葉は難しい」ということである。

 このドラマの主人公は、幕末の土佐藩で若者のリーダーだった武市半平太(錦戸亮)。武市はいろいろあって切腹することになり、いよいよというその瞬間!となった時、なぜか平成の世にタイムスリップしてきたのだった。親切な老紳士佐伯(森本レオ)に助けられ、こどもたちの学習塾の先生となる半平太だが、当然のごとく現代の物品や風習には戸惑いの連続。そんな半平太を助けるのが、先にタイムスリップしていた坂本龍馬(神木隆之介)なのである。

 ちょんまげに着物、袴姿で行く先々で困惑される半平太に対して、とっくにいまどきのふわふわヘアとファッションとなり、スマホなども使いこなすちゃらちゃらした龍馬は、現代語と江戸言葉の通訳の役割もする。「闇金→悪徳高利貸し」、「ボディガード→用心棒」、「テレビ・PC→絵箱」などなど。可愛い女子高生の「ピュア」な感じを「箱入り娘」としたのはナイス意訳だし、「デリヘル」を瞬時に「移動式遊郭」と訳す龍馬って。世の中知りすぎでしょという感じだが、このキャラは「日本を今一度せんたくいたし申候」などと手紙に書いた史実の龍馬の言葉のセンスを買ってのことなのかも。

 しかし!このドラマで本当に難しいのは、現代語の方なのだった。第一話で白装束の切腹スタイルのまま道路で気を失っていた半平太を最初に発見したのは、村のヤンキーカップル、サチコ(黒島結菜)と寅之助(藤井流星・ジャニーズWEST)。半平太は彼らの黒い軽ワゴン車を黒漆仕様の箱車と思い込み、ヤンキーたちは半平太のちょんまげを「レイヤーじゃね?」などと勘違い。私はちょんまげはレイヤーカットの一種なのかと驚いていたが、この場合の「レイヤー」は「コスプレイヤー」のことなんですね。難しい。すっかり勘違いの渦に巻き込まれてしまった。

 第四話では、サチコが大富豪の箱入り娘だと発覚。寅之助に恋した彼女は、彼に好かれる女の子になるためにお嬢様ルックからカツラとヤンキーファッションで変装、必死にヤンキー言葉を学んだのである。専門用語を単語カードに書いて暗記したり、パソコンの音声ソフトで「ちょりす」のイントネーションの確認までするサチコ。「パない」の「半端ない」はともかく、「かまちょ」が「かまってちょうだい」、「トッパシ」が「突発的に前橋に行くこと」って。難易度高過ぎである。
 
 家に連れ戻されたサチコを追跡しようと、さっそくGPSを活用する龍馬の横で目をぱちくりする半平太。ところがその横では寅之助がGPSをGNPと勘違いしているのだ。

 寅之助は「王政復古」を「遅っせえふんころがし」と間違うなど、間違うほうが難しいだろうという間違いを連発。さらには元不良のカラオケスナックのママが「薩長同盟」をいがみあってた者同志の同盟と聞いて、「上州達磨会と栃木バンデッドが手を組んだってことか。ありえない」と納得する場面も出てくる。もはやわかりやすいのか、わかりにくいのか、わからなくなってきた。どこまでいくのか、この勘違いと新型歴史用語解説。ドラマの内容とは別のところが気になるドラマなのである。

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト