国内

年金積立金をギャンブル投資の安倍政権 3か月で10兆円消える

「老後破産」「下流老人」という言葉がよくいわれるが、今、日本人の老後が崖っぷちに立たされている。埼玉学園大学経済学部教授の相沢幸悦さんはこう話す。

「老後のために積み立てられてきた年金資金が、この7~9月のたった3か月の間に、10兆円ほど消えてしまったと計算できるのです」

 それは一体、どういうことなのか──。私たちが毎月支払ってきた年金保険料は「年金積立金」としてプールされて、将来の年金の支払いに備えられている。

 その積立金を管理しているのは「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」という政府機関だ。その額およそ140兆円。それらは現金のままではなく、国債や株で運用されている。

 考え方は家計における老後の備えと同じだ。収入があるときにできるだけお金を貯金しておく。それでも、“たんす預金”ではもったいないので、少しでも増えるように、銀行預金したり、保険を買ったり、国債や株を買ったりして運用している。

「年金積立金の運用は“手堅く慎重に”が基本です。損をなるべく出さないようにしつつ、少しでもいいので利益を出していく。もし損が出たら、その分だけ将来国民が受け取れる年金が減ってしまうことになります」(相沢さん)

 そこで、長い間、年金積立金の大半は最も安全な投資先のひとつである「日本国債」で運用されてきた。儲けが大きいわけではないが、絶対に減らすことはできないという観点から、運用先として選ばれてきた。

 ところが昨年10月、安倍政権は今までの方針を転換。140兆円の年金積立金の25%で「日本株」を、25%で「外国株」を買うことにした。さらに、積立金の15%を「外国国債」に投資することに決めた。

 国際的に信用のある日本国債に比べれば、外国国債は値動きが大きいので、値上りの期待が大きい一方で、値下がりするリスクが大きい。

 この10月には「ジャンク債」と呼ばれる国際的に信用の低いハイリスク・ハイリターンな国債にも投資することが決まった。それには、財政危機にひんしているギリシャ国債も含まれている。高利回りが期待できる一方で、価値がゼロ(債務不履行)に陥る可能性もある。

 日本株や海外株も同様で、大きなプラスになる可能性もあるが、極端な話、紙くずになってしまう危険性もある。安倍政権は年金をいわば“ギャンブル投資”にあててしまったのである。

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン