スポーツ

釜本邦茂氏 五輪得点王に育ててくれたサッカー界の父を語る

デットマール・クラマー氏との思い出を語る釜本邦茂氏

 どんな大物だろうと天才だろうと、人生の中では思い悩み苦しむことがあった。そんな時に光を照らし道を示してくれた恩師の思い出は、今も色鮮やかに心に刻まれている。サッカー解説者の釜本邦茂氏(71)が、そんな恩師へ感謝の言葉を綴る。

 * * *
 私にとっての恩師は1960年にサッカー日本代表強化のために来日した、デットマール・クラマーさんをおいて他にない。最初の出会いは私が山城高(京都)の2年生の時だ。クラマーさんが京都代表の選抜合宿の指導に来られたのだが、その時のデモンストレーションの相手役に選ばれたのが私だった。

 当時、世界最高峰だったドイツサッカーの技術を自らが手本になって教えてくれて、人間教育にまで言及する話に感動したのを覚えている。本格的に指導を受けるようになったのは、早大2年で東京五輪代表に選ばれた時だ。この時、最初にいわれた言葉は今でも忘れない。

「遅い! このままでは北海道の熊で終わるぞ」

 私はフォワードでありながら、ボールを受けてからゴールへ振り向くスピードが遅かった。南米の選手は『1』、欧州の選手でも『1、2』でゴールに振り向くが、私は『1、2の3』とさらにワンテンポかかった。体の大きさと相まって、お前はまるで北海道の熊だというわけだ。

 まずはこのスピードを上げることから始めた。海外のストライカーの映像や資料を見ながら、自分自身で考え、反復練習を繰り返して技術をモノにしていった。

 結果、マークから離れて半身でパスを受けることで、スルッとゴール方向に振り向けるようになり、得点能力が格段に上がった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン