「連合国の意図は日本を破壊し奴隷化することではない」と説明するマッカーサー相手に一歩も引かず、ポツダム宣言の忠実な履行を決意し平和を望まれる天皇陛下のご意思を伝え、怯むことなく交渉を続けました。

 粘り強い説得に、マッカーサーもついに「貴下の主張は了解せり」と布告を取り下げる約束をします。その結果、占領政策は日本政府を通した間接統治となりました。

 重光の直談判がなければ日本はGHQによって植民地化され、日本政府は機能を失い、皇室など日本の文化は破壊されていたはずです。命懸けの交渉が日本を破滅から救ったのです。

 敵にすればこれほど厄介な外相はいません。GHQは東京裁判で重光をA級戦犯として起訴しました。無罪を予想する大方の予想に反し、下ったのは禁固7年の有罪判決。まさに彼は「連合軍に最も恐れられた男」だったのです。

 4年7か月に及ぶ服役後、仮釈放された重光は鳩山一郎内閣で4度目の外相を務め、ダレス米国務長官と会談して日米安全保障条約改正交渉のさきがけとなり、軽武装・経済重視の吉田ドクトリンに対抗して再武装を主張し、国家として当然の安全保障体制を追い求めました。

※SAPIO2015年12月号

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