芸能

山本圭 撮影ゼロで終わった初日が仕事場で泣いた最初で最後

 俳優座養成所時代に叔父が監督する映画でデビュー、以後、様々な舞台や映画、テレビドラマ等で活躍する山本圭の役者人生は、順風満帆に見えるが、デビュー作では今も鮮やかに思い出される苦労があったという。初めての撮影で味わった苦しさについて山本が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏の週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 山本圭は山本薩夫監督を叔父に持ち、兄の学と弟の亘も俳優という環境に育つ。中学・高校と演劇部で活躍した後、1960年には俳優座養成所に入所する。まさに、役者一筋といってもいい。

「小学校からのひとつ下に東野孝彦(英心)、長山藍子、『上海バンスキング』の劇作家になる斎藤憐、二つ下に串田和美がいましてね。長山と東野は養成所で同期だったのですが、次の年に斎藤も串田も受けると言い出して。それで、養成所の問題集を盗み出してきて、『パントマイムのコツはこうだ』『試験ではここが見られる』とか教えていました。

 俳優というのは、背が高くて綺麗な二枚目がなると思われがちです。私は背が高くないというのを若い頃から分かっていました。それでも、背が低くてもやれる場所があるんじゃないかと思っていたんです。
 
 薩夫監督との関係もあり、俳優さんたちが正月に我が家に来ることもあって、彼らを見ているうちに『俳優というのは二枚目でなくても成り立つ』と思うようになりました。彼らを自分に引きつけて考えてみたら、『やれるかもしれない』と思えた。

 それでも、版画家になるか俳優になるかで悩んだことはあります。銅版画でも協会の展覧会で何度も入選していましたから。でも、ある展覧会に入選したというので見に行ったら、僕の作品は逆さまに掛かっていましたけどね……」

 本格的な映画デビュー作は薩夫監督による『乳房を抱く娘たち』(1962年)だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン