半藤:この連中がやったことは全共闘運動ですよね。計算も展望もない、未熟な全否定運動。当時の悪口で、“真っ赤なリンゴ”というのがある。外側は左翼がかって赤いが、ちょっと皮をむくとみんな真っ白だと。

出口:中身がないと。

半藤:そう、外側だけ赤い。この人たちは70年安保が終わると、“働き蜂”になって猛烈に働き始める。

出口:勉強していないので中身が何もないからですよ。

半藤:彼らもあまり勉強するチャンスがなかったんじゃないかと思いますね。

 つまり、日本の戦後においては、ものすごく皆さん頑張って、物質的に豊かな国家をつくってきたんですが、根底にある、人間としての本当の教養というか、国家を支えるための知恵は誰も持ち合わせてないのではないかと思うんです。

出口:そもそも教養がない国だというのは同感です。先進国クラブであるOECD34か国のなかでも、日本の大学進学率は実は平均より低く、一度働いてから大学で学び直す人(25歳以上の大学進学者)の割合はずば抜けて低い。しかも、日本の大学生は全然勉強しないでしょう。

半藤:なるほど、データで見るとそうなるんですね。

【プロフィール】
●出口治明(でぐち・はるあき):1948年生まれ。京都大学法学部卒業。ライフネット生命保険株式会社会長兼CEO。近著に『人生を面白くする本物の教養』(幻冬舎新書)、『世界史の10人』(文藝春秋)など。

●半藤一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。東京大学文学部卒業。文藝春秋に入社、専務取締役を経て作家。代表作の『日本のいちばん長い日』(文春文庫)が今年、映画としてリニューアル公開された。

※週刊ポスト2015年12月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン