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人工知能のPepperはどう逆立ちしても孫正義超えられぬと大前氏

 いまAI(人工知能)がブームだ。夢の技術として何でもできると思いがちだが、経営コンサルタントの大前研一氏は過度な期待はすべきでないというスタンスだ。AIと人間との違いについて、大前氏が解説する。

 * * *
 トヨタ自動車がAI技術を研究・開発する新会社を来年1月、アメリカのシリコンバレーに設立すると発表した。

 以前に「自動運転車」を取り上げ、機械と人間の相克について考えたが、自動運転車の中核技術であるAIも、いま何度目かのブームを迎えている。AIをテーマにした本がベストセラーになり、AIの能力が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」というキーワードが飛び交っているのだ。

 だが、この議論はこれまでも繰り返されてきたことである。かつてはチェスでコンピューターが人間に勝てるようになることをシンギュラリティと呼んで一つのエポックとしたが、今やチェスより手順数の多い将棋でもコンピューターが勝てるようになり、残るは囲碁という状況だ。いずれ囲碁でもコンピューターが勝てるようになるだろう。

 とはいえ、どれほどAIが発達しても“人間の能力を超えられない壁”は残る。なぜなら、AIは人間がプログラミングをしなければならないからだ。チェスも将棋も囲碁も限られた盤面で限られた駒や白と黒の碁石しかなく、互いの手の内(情報)はすべてオープンになっている。

 一方、自然界には無限の空間、無限の色、無限の情報がある。その中で人間は周囲の状況を踏まえ、情報を取捨選択しながらフレキシブルに発想や意思決定をしているわけで、そうした能力はデータに基づいたプログラムによって推論していくAIとは本質的に異なる。

 無論、昨今のAI技術の進化には目を瞠(みは)るものがあり、AI自身が学んでいく「ディープラーニング(深層学習)」なども話題になっている。冒頭の自動運転をはじめとする科学技術だけでなく、ジャーナリズムや金融の分野でもすでにAIが人間の代役を担うようになっている。“進化”したAIで置き換え可能なことは任せればよいし、それによって1人の人間にできることは飛躍的に広がるだろう。

 しかし、だからといって、AIが全面的に人間に取って代わることはあり得ないと思う。

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