だが、この人事はさまざまな憶測を呼んだ。業界内部では、「社内きってのエリートである開発担当部長がクビになるからには、重大なコンプライアンス違反があったのではないか」(業界関係者)
「VW(フォルクスワーゲン)のような法律違反があったのではないかとの噂もある」(別の自動車メーカー幹部)といった話も飛び交った。
VWは排ガス規制を逃れるために違法ソフトを搭載する重大不正を行ない、世界各国で1100万台のリコール(回収・無償修理)に追い込まれた。また巨額の訴訟が相次ぎ、旧経営陣の刑事訴追も免れない状況だ。開発部長のクビが飛ぶというのは「それに匹敵するほどの“何か”があったのではないか」(前出・別の自動車メーカー幹部)との見方が浮上するのも無理はない。
「RVR」のフルモデルチェンジで重視されていたのが、VWの不正の原因となった排ガス規制に大きく関わる車の軽量化だったこともそうした憶測を招く背景にあった。しかし、三菱自広報部は真っ向から否定する。
「国土交通省への虚偽報告といった、法令違反は一切ない。あくまでも社内的な問題で、きちんと上司に報告しなかったということがすべて。弊社への影響だけでなく、最軽量車種の投入が遅れることで、国内外の販売会社に多大な迷惑をかけてしまう。その事態を重く見てケジメをつけたということです」
※週刊ポスト2015年12月18日号