「暗い人」は人事担当者にすこぶる評判が悪い。金融業の人事部長は「サラリーマンなら暗いというだけで評価が下がる。昇進させても部下を率いることはとても無理。大事な顧客に紹介しようと思わないし、重要な仕事を任せようと思わない」と指摘する。
では具体的にどんな人なのかを聞くと「気が弱く対人関係が苦手な人」「弱くてもろい、引っ込み思案な人」「すぐに腐ってしまう人」「自分に自信が持てない。消極的、悲観的、ネガティブな人」――を挙げている。
何かに失敗し、挫折を経験すれば誰でもこういう状態に陥ることがある。だが立ち直れずに常態的にそうだと会社が危機的状況になると、間違いなくリストラ候補者になる。
「ひとりよがりな人」とは周囲と歩調を合わせて仕事をすることができない人だ。類似する性格・行動として「協調性がない、失敗を隠したがる人」「自分勝手、向上心がない、社交性がない人」「自分に甘く傲慢な人」「とにかく気が短い人」――が挙がっている。
電機メーカーの人事課長は「一プレイヤーとして良い成績を上げる人もいるが、周囲の協力なしには継続的に成果を出し続けることはできない。とくに部下や後輩に嫌われ、仕事をサポートしてもらえなくなれば行き詰まってしまう。怖いのはプライドが高いために成果を上げようと法律に抵触するような行為におよぶこと。そうなれば会社が大きな痛手を被る」と、このタイプの危険性を指摘する。
ズボラな人、ルーズな人は説明するまでもなく、リストラ候補者だろう。具体的には「なんでも先延ばしにする人」「いいかげんで存在感がなさすぎ、頼りにならない人」「困難な仕事に対してすぐにあきらめる人」「無気力でだらしない人」――という例を挙げている。どこの職場でも受け入れられないどころか、まだこんな人が給料をもらっているのか信じられないような“絶滅危惧種”といったところか。
「やさしくていい人、真面目な人」は一見、会社にとっては重宝な存在にも見える。だが、サラリーマンの世界では「いい人」をよい意味で使うことはない。会話の中でも「あの人はいい人なんだけどね……」と言った後に「でも仕事ができない」とか「いつも失敗ばかりしている」という尾ヒレがつくものだ。
具体的には「何でも『はい』という弱い人」「おとなしくて自分の意見が言えない人」「“自分”を持たない人」――という例が挙がっている。人がいいということは誰にでも「はい」と答えるような従順な性格でもある。当然、敵もいないが味方もいない人だ。リストラが始まれば格好の標的になる。どんな人事担当者に聞いても「会社のいいなりになる人」「反抗できない人」がリストラしやすいと答えている。