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若き男との恋愛や亡き文豪を描く瀬戸内寂聴短編集「わかれ」

【著者に訊け】瀬戸内寂聴さん/『わかれ』/新潮社/1512円

【本の内容】
 91才・女性画家の「先生」と、女たらしの50才、カメラマンの「翔太」は、年齢差を超えて本音を通わせ合う仲。自分が関係を持った女性とのことを赤裸々に明かす翔太は、先生の心を温めるが、ある日、突如姿を消してしまう──表題作「わかれ」のほか、今は亡き吉行淳之介や武田泰淳のことを描いた「約束」「紹興」など、どれも死の影がありながら、決して後ろ向きではない、命のたくましさが感じられる珠玉の9作品。

 2003年発表の「紹興」から2015年発表の「わかれ」まで収録された短編は全9作。瀬戸内寂聴さんはその間に卒寿を迎え、2014年は腰椎圧迫骨折で入院。療養中に胆のうがんが見つかるなど大きな変化があった。

「でも、小説を書くときには自分の年を忘れていますから。だから90になったからこういう小説って、そういうものじゃなくて、書くときはいつも若い気持ちのままです。もしかしたら純文学短編集を出せるのはこれが最後かもしれないが、一冊になったものを読んでみて、みんなしっかり書いてあり、安心しました」

 苛酷な闘病と精力的な執筆の日々を記録したNHKスペシャル『いのち 瀬戸内寂聴 密着500日』(11月22日放送)も話題を呼んだ。特に深夜に肉を食べ、シャンパンを飲む姿は反響が大きかったという。

「ああいうことを映させたということは裕さん(中村裕ディレクター)を信頼しているから。ただ、裕さんが(寂庵に)来たときだけ、うちの女の子たちが肉をご馳走しているのに、年がら年中、私たちが肉を食べているようで、けしからんって言って、彼女たち怒ってるんですよ。それから、みんなが私は肉とシャンパンが好きだって誤解して、どんどん送られてくるので、うちは今や肉だらけ酒だらけです(笑い)」

──実際は週に何回ぐらい肉を召し上がるんですか?

「まあ、あれば毎日少しずつ食べますけど(笑い)、そんなに好きでもないんです。ただ、これはもう実感なんですけど、とにかく芸術家は肉を食べないと、頭が早く衰えて、駄目になりますね。だから私は今、93才でしょう。まだ脳は全然大丈夫ですよ」

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