国内

左翼は原義と異なる リベラルと称して差し支えないとの指摘

 夏に「反安倍」という掛け声のもと一致団結した「リベラル」だが、その立ち位置は異なる。著述家の古谷経衡(つねひら)氏が読み解いた。(文中敬称略)

 * * *
 ネット空間で毎日のように飛び交う呪詛の文脈に登場する「左翼」に当てはまるような人々は、もはや絶滅している。

 ソ連崩壊時、日本共産党は「両手をあげて歓迎する」と声明したが、爾来20余年が経過し現在の共産党に「資本論」を読破している党員がどれほど居るのかは疑わしい。現在、左右の属性の決定は思想や観念ではなく党人や政治的イシューに対する賛否による。

 そのような意味で現在の「左翼」とは原義の左翼ではない。もちろんこの「党人に対する賛否」とは、安倍晋三に関する評価であり、よって安倍や安倍政権に激烈な「NO」の感情を持つもの=反安倍が、現在の「左翼」の中心核を形成しているのは疑いようもない。

 左翼、左派、サヨク、或いはカギ括弧付きの、とあらゆる意味で括られる「左翼」はもはや原義とは異なる位相にあるのでこれを保守、と対置する意味で「リベラル」と称して差し支えあるまい。

 現在のリベラルは反安倍をコアとして、華夷秩序のように同心円状に広がっており、激烈な反安倍から揶揄的な反安倍まで濃淡はあれど、特に今夏の「安保法案」では、保守派による「安保法案賛成」と対置してリベラル側に明瞭な団結が観られた。

 かつて、リベラルは9条遵守、反自衛隊など冷戦下の社共に代表されるような教条的なスローガンに統一されがちであったが、冷戦後、国際情勢の激変と日本周辺の緊張に伴い、かつて「左翼」と観られた文化人や知識人の中でも、条件付きの改憲を容認したりする人々が現れ、自衛隊を違憲と断言する人物はマイノリティになっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト