ライフ

国に貢献した人に与えられる叙位・叙勲 等級の決まり方は?

叙位で受け取る「位記」(静岡県・静美洞提供)

 聖徳太子の「冠位十二階」に由来し、飛鳥時代の大宝律令(701年)で定められた天皇の臣下の序列である「位階」。あまり知られていないが、この制度は形を変えて現在も続いている。ジャーナリストの武冨薫氏が解説する。

 * * *
 新聞の社会面などを注意して読むと、〈叙位 正五位○○大学名誉教授〉といった小さな記事を目にすることができる。「叙位」とは天皇が「位階」を授けることで、最近では、2015年9月に亡くなった塩川正十郎・元財務大臣が「正三位」に叙せられ、

〈故塩川正十郎氏に正三位 閣議で決定〉(日本経済新聞  WEB版10月16日付)

 と報じられている。

 叙位は明治憲法下では天皇の「栄典大権」(爵位や勲章、その他の栄典を授与できる大権)とされていた。戦後、GHQの指導で華族制度・爵位の廃止が決まり、生存者に対する叙位・叙勲も閣議決定で一時停止されたが、新憲法でも天皇の国事行為の一つに「栄典を授与すること」(第7条)と定められて栄典制度自体は存続した。

 生前叙勲は池田内閣による閣議決定(1963年)で復活したが、生前叙位は現在も停止されたままだ。その結果、おおまかに言って現在では、国家に功績のあった人物に対して「生前に行われるのが叙勲」「死後に行われるのが叙位」と分けることができる。

 現在の位階制度は1926年(大正15年)に公布された「位階令」に基づいており、最高の正一位から従八位までの16段階。「国家ニ勲功アリ又ハ表彰スヘキ効績アル者」「在官者及在職者」に与えるとされている。

「勲一等」など勲章の等級(勲等)との違いは、勲等が功績の大きさを表わすのに対して、位階は勲功や官職、爵位(現在は廃止)によって与えられる「地位」、狭義では宮中の序列とされる。叙位は申請主義で、亡くなって30日以内に遺族や関係団体が役所(自治体や各省)に申請する。

「叙位は天皇の国事行為であり、内閣の助言と承認が必要です。基本的には死亡時に叙位の申請があった方について各省が慣例で位階を判断し、内閣府が審査した上で閣議決定されます」(内閣府人事課)

 閣議決定の後、上奏、天皇の裁可という流れとなる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン